本日1月20日発売の林部智史さんのアルバム【まあだだよ】にアレンジャー&ピアニストとして関わらせていただきました。

「まあだだよ」
全曲小椋佳書き下ろし新曲によるニューアルバム!
小椋佳が歌に託した思いを、林部智史が歌い継ぐ!

※今朝の朝刊より

今回のお仕事、自分にとって非常に大きな経験となったのでブログで少し詳しく書き記したいと思います。

今回のアルバムで私が担当させていただいたのは大きく2つ。
一つはCDに収録されている「慈しむ人 美しい人」「まあだだよ」のアレンジ


もう一つはデラックス盤付属DVDに収録されているスタジオライブ全8曲のアレンジ&ピアノ演奏



まずはCDの2曲のアレンジから書いていきたいと思います。

・慈しむ人 美しい人
そもそも私は今までポップスのアレンジは仕事で任されたことがなかったので、そんな新米の私にアレンジを任せていただける林部さんと制作の方々の懐の深さに感謝しつつ、しかしアレンジャーデビュー作が偉大な小椋佳さんの作品ということで本当に私が担当して良いものかどうか不安な面もありました。

ですが自分がいま出来る最高のものを作ろう!と気合だけは一丁前に頑張りました。

今回初めてこの仕事を経験して、バンドのアレンジャーとしてアルバムに関わるということはこんなに大変なのか、世の中のアレンジャーと呼ばれる人たちはものすごい仕事量をこなしているんだなということに素直に驚きました。。

楽曲をアレンジしたデモ音源を打ち込みで作成するところから始まり、先方から「もっとこうして欲しい」という要望が出たらそれに応じてアレンジを修正、エンジニアさんとの膨大なデータのやり取り、収録当日の立ち合い&ディレクション、ミックス作業の立ち合い、この他にも色々な仕事が...

今回は本アルバムで2曲アレンジを担当されている素晴らしいアレンジャーの田川めぐみさんに非常に助けていただき(というよりもはやアレンジャーの仕事のいろはを教えていただき)本当に感謝しています。
ちなみに、田川さんは藝大の作曲家の先輩で在学中には一緒に入試試験のスタッフをしたこともあるという偶然っぷりでした!

さて肝心のアレンジですが、小椋さんが過去リリースされている作品を片っ端から聴かせていただき、スタイルや雰囲気を自分の中に落とし込む作業から始めました。

そして最終的にはファンタジーを感じられるような、少しだけ現実世界とは離れた何か神聖なところに飛び込んだようなそんなイメージで作成しました。
一つの特徴として三味線を印象に残るような使い方をしていますが、こちらは藝大の同期でこれまでにも何度も一緒の舞台に立っている岩田桃楠(いわたももくす)さんが素敵な演奏をしてくれました♬

同期とこういう形で一緒に仕事ができるのは嬉しかったなぁ...

・まあだだよ
こちらは林部さんから小椋佳さんにあてたメッセージソングのような作品です。
一度アレンジを林部さんに聴いていただいた時のアドバイスで「父のような雰囲気がもっと出ると更に楽曲が良くなるね」という言葉にヒントを貰い、今回リリースされた形にまとまりました。
温かくて何か大きなものに包まれるような、そんな安心感のある雰囲気を感じていただければ嬉しいです。

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CD収録のアレンジについては以上です!
ここまででもだいぶ長くなってしまいましたが、次はDVDについて書いていきたいと思います。

DVDの方は、こちらの記事にもある通り比較的急遽お話をいただいたので、短い期間で集中的にアレンジに取り組みました(頑張りました笑)


【CDのアコースティックバンド編成になっている楽曲をピアノ1本だけで、よりコンサートに近い形で】というコンセプトの沿って、どのようなピアノアレンジを各曲にしていけば良いか、非常に悩みながらも作業を進めていきました。

CDのバンドアレンジからあまりにかけ離れてしまってはいけないので、当然そのイメージをベースにしつつも、ピアノ1本でやる意味を考えた時、やはり林部さんの素晴らしい声や表現力を生かすという方向性は自分の中で大事にしたいなという思いがあり、ダイナミックな部分を大切にしながら、音符数の面でも演奏面でも「引けるところは引く」という意識で最終的にアレンジをまとめることができました。

結局いろいろとこだわっていたら全ての編曲が終わったのが収録日前日の21時頃、それから日をまたいで直前まで必死に練習して、なんとか収録に間に合わせたのが今となっては良い思い出です。

収録当日は驚くべき事に全ての曲が一発OKという極限の集中力の中で、林部さんと2人で音楽を作り上げられたことがとても嬉しかったです。
(確か予定していた収録スケジュールより2時間くらい早く終わった記憶が...?)

そして今日、そんな自分にとっても非常に思い入れのあるアルバムが発売されることがたまらなく幸せです。

ちなみに、このブログは小椋佳さんのラストアルバム【もういいかい】を聴きながら書いています...!

改めて、素晴らしい方に仕事を通して音楽を通して出会えたことに感謝しつつ、自分が小椋さんの年齢になった時に次世代に何かを残せるような音楽家になりたい、とそんな想いを抱きました。

最後に小椋佳さん・林部智史さんを始めCD制作が困難なこの時期にアルバムに関わり作品を生み出して下さった全ての方に感謝申し上げたいと思います。

今回得た経験を糧に何か恩返しできるよう自分自身が成長していきたいと思います!

長くなりましたが最後までお読みいただきありがとうございました。