三流のすすめ

 

今年で鍼灸の免許をとり、15年目となりました。

普段からあまり他の鍼灸師との交流がなく、

業界のことをよく知らないのですが、

やはり技術職なので、「一流」を目指している先生が多いですし、

一流を目指して技術や人間力を磨け!と聞くこともあります。

 

しかし僕はどうも飽き性で、

これを極めたい!と思って取り組んでいても

興味がすぐに移ってしまったり、

長続きしないのです。

心の奥底では一流の道を早々に諦めていました。

そしてそのことに対して劣等感を持っていました。

 

技術職は一流の職人でないと失格だろう、と。

ひとつのものを極めないと駄目だろう、と。

 

そんな折、いつも聞いているPodcast「超相対性理論」で、

「三流のすすめ」という本が引用されていました。

 

本のタイトル通り、

三流になりましょう!

という内容なんですが、

 

「三流でいい」

 

ではなく、

 

「三流いい」

 

なのです。

 

三流と聞くと劣っているように聞こえてしまいますが、

古代中国では、三流に国を任せろと言われており、

現代と三流の意味合いが違っていたようです。

 

一流というのは「ひとつの専門をもつ者」、

二流は「ふたつの専門をもつ者」、

そして三流は「色々なことを専門にもつ者」、

という意味があるそうです。

 

ひとつの専門しか持っていないと

多面的にものごとを見れないし、

自分の専門分野に反する人間に対して寛容になれないということが起こります。

なので、「三流の人間」に国を動かすポジションを与えるように選別していた。

 

これを聞くと三流への認識がだいぶ変わってきます。

 

しかし、三流がこういう意味だと知ると

これって一流を目指すより大変じゃない?!ってなりますね(笑)

ひとつを極めるのも大変なのに、

それを3つ以上極めなければならないのが三流。。。

 

これに対してまた救いとなる文章が本文にでてきます。

冒頭で「僕は飽き性で」と言いましたが、

この飽きっぽいというのも三流の特徴なのだそう(笑)

 

飽きるという字の「飽」というのは、

お腹の中に赤ちゃんがいて、

もういっぱいという意味があるそうです。

 

「飽きる」というのはお腹がいっぱいになった状態で、

もう食べられれない!やり尽くした、というニュアンスがある。

飽きっぽいとはすぐにお腹がいっぱいになる人、ということだそうです。

反対に一流の人はいくら食べてもお腹がいっぱいにならない人。

 

そうだとすると、

飽き性のひとが「飽きた」状態というのは、

もうその物事をいっぱいにやり尽くした、という事なので、

はい、次いってOK!

でいいんだと。

 

一流や飽きっぽいという自分に卑屈にならず

言葉を捉えなおすことで、

ネガティブなイメージが変わったので、

自分としてはとても良い発見でした(^^)

 

 

 

 

今回の学び

・三流、飽き性ってイイじゃん

・言葉の起源を知ると、思いも寄らない意味が出てくる

 あなたの前提しだい

 

先日のコーチングの際に、

 

「それはあなた(僕)が作っている前提ですよね?」

 

と言われ、ハッとしました。

 

そうか、

自分で自分を規定してしまってたな、、、。

 

 

 

どういうことか説明すると、

僕の奥さんは起業をして、

事業経営をしています。

そこにいきつくまでに壮絶な経験をしてきており、

それを乗越えて今の自分があるので、

いわば「売り」=ストーリーがあるのです。

 

反対に僕は

・雇われ会社員

・過去に大したストーリーがない

・鍼灸師を目指すきっかけとなった特別なエピソードがない

 

という、

語るべきものがない自分像

というものがあったのです。

 

そんな話をしていた際の冒頭の一言、

 

「それはあなた(僕)が作っている前提ですよね?」

 

 

うん、確かに。

 

 

 

 自分の「色」がない人間は、この世にいません。

 

そんな時にやっぱり引き寄せてくる不思議。

 

僕が大好きな本、

 

「地平線を追いかけて満員電車を降りてみた」

 

これを読んでいたら、

素敵な文章に目がとまりました。

この本何度か読んでいるけど、

不思議に今までここを気に留めてなかったなー。

 

ちょっと引用させてもらうと、

 

 

    

あなただけが持つ色というのは、あなた自身にも見えないくらい何層にも深く眠っている、唯一無二のものです。

あなたはそれを突き詰めてこなかったから、「私には個性がない」と勝手に決めつけているだけではないですか?

 

 

なんと自分にぴったりな言葉なんでしょう(笑)

 

より良い人生を生きるために

言語化トレーニングをしている最中ですが、

まさにこれまで言語化をしてこなかった=突き詰めてこなかったから、

語るべきものがない大したことない自分

という前提が出来上がっていたんですね。

 

あー、面白い。

 

 

そう、ストーリーがない人間なんて

この世にはいないですよね。

 

もっと自分を見つめて、

もっと言語化して、

物語を紡いでいきたいと思います。

 

 

 

今回の学び

・すべて自分の前提しだい

・個性がない人間なんていない

 観察力は治療力

 

僕は普段鍼灸師として

痛みやしびれ、不定愁訴などでお困りの方に鍼治療をしています。

 

「観察」は治療をする上でかなり重要な能力になります。

 

患者さんの体の状態や鍼を打った際の反応、

精神状態はどうなのか、

本当は痛みが根本的な問題ではなく他に伝えたい事があるんではないか、

治療に対するモチベーションや

治療者(=僕)に対して信頼は得られているのか、

 

などなど。

いろいろなことを治療中に観察しているのです。

 

「うまい治療者」というのは、

得てして観察眼が鋭いです。

観察力は治療力に直結すると感じています。

 

 

 観察力はデザイン力

 

僕がもっていたデザインのイメージって、

ものづくりや広告などの色・フォント・配置など

一般的にデザインと聞くと浮かぶものだけでした。

 

最近デザイナーさんの文章や対談をよく読んでいるのですが、

自分が思っていたよりもデザイナーさんって

もっとすごいことをやっている人たちなんだと分かり、

デザインに対してさらに興味が湧いてきています(笑)

 

デザイナーの佐藤オオキさんはデザインについて

 

デザインとは、かつてのようにモノそれ自体の機能や形だけではなく、その周辺の求められる用途などを分解して観察し、それらを構成している多くのパーツを見つける手法です。

 

こんな風におっしゃっています。

 

観察する力がそのままデザイン力になるのだと思います。

 

 

 

 オープンマインドの重要性

 

実は観察力は治療を受ける患者さん側にも大切な力になります。

 

人間には内受容感覚というものが備わっています。

内受容感覚とは痛みや呼吸、心拍などの

生理的なものに対する感覚のことで、

この感覚が情動や気分、感情を作り、意識の基礎を構成しており、

生きていく上での基本的な機能を維持していると言われています。

 

この感覚が弱ってくると、

うつなどの症状がでたり、

痛みが長引いたりすることが想定されています。

 

近年注目を浴びている「マインドフルネス」とは、

この内受容感覚の知覚を高める効果があるのではと期待されています。

 

 

 

 

 美術館を楽しむように鍼を受ける

 

美術館や個展などのアート作品を見ようとすると、

人は自ずと心をオープンに開いて

この空間にあるものを理解しよう、

味わおうとしますよね。

 

それが、まさにマインドフルネスのような効果をもたらし、

内受容感覚を高めるのではと思います。

 

僕は最近アートに興味を持ち始め、

素人ながら美術館での鑑賞を楽しんでいるのですが、

いつもとは違う非日常の空間で、

感性が開かれる感覚があります。

 

自分の治療院では、

鍼治療だけではなく、

治療院の空間を含めて

そんな「開かれる感覚」をクライアントに感じてほしいなと思っています。

 

オープンマインドの状態で

ご自身を色々と観察してほしいのです。

 

鍼を受けているときに感じた感情ってどんなかんじ?

鍼を受けているときに頭に浮かんできた出来事ってどんな意味があるのだろう?

ポカポカと体が暖かくなってきたな

そういえばいつも冷えていたんだな

 

などなど。

 

治療後も観察を続けることでそのパワーがかなり発揮されます。

 

 

めざすは治療院の美術館化(笑)

かなり大雑把なイメージなのですが、

どんなことがやれるのかを日々考えていこうと思います。

 

 

 

 

 

 

今回の学び

・観察力がレベルアップすると、人生をよりよく生きる力もアップする

・観察力をつけるにはどうすればいいか?課題がみつかる

 

 超相対性理論

 

最近通勤中のお供にポッドキャストを聞き始めました。

今まで全然興味がなかったのに、

何の予備知識もない状態でパッと気になった番組を聞いてみたところ、

これがめちゃくちゃ面白い!!

 

PDOCAST【超相対性理論】

具体と抽象を行き来しながら、一つの事柄を、さまざまな角度と尺度とから見つめる。すると、同じものも、少し違って見えてくる。

 

観測点や参照点を増やすことで、知と知を星座のように結びつける。浮かび上がる新しい星座について、みんなで語りあい、考える。

 

それをなぜか、「超相対性理論」と名付けました。

 

通勤中の暇つぶし的に聞き始めたのに、

どんどん夢中になってしまっている。。。

 

この番組を第一回目から聞いていて、

山口周さんの本の話が出てきたことにびっくり。

 

 

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」

 

 

この本は自分が去年の年末あたりに出会い、

人生について考え始めるきっかけとなった本だったので、

(このあたりはまた今度ブログに書いて見ようと思います)

引き寄せたなと思いました(笑)

 

ちなみに、第一回目のテーマは

「我々は数字の奴隷から脱却できるのか」。

 

最初は数字の話で経営的な話題なのかと思いきや、

Wellbeingの話から、調和、内受容感覚、

「アート・サイエンス・クラフト」の話や

能楽の世界(離見の見)にまで広がる壮大な話でした(笑)

 

テーマを見ただけでは分からないですが、

これが不思議なことに

治療へ繋がるヒントもあって、

とても為になりました。

 

色々な本の引用がバンバン出てきて

知的好奇心が旺盛な方は、

すごく楽しめると思いますので、

ぜひ聞いてみてください(^^)

 

 

 

今回のまなび

・組織レベルでも個人レベルでも調和・バランスを意識することが大事

・脅威的状況になるとこのバランスが取れなくなる

・鍼で目指すところは調和・中庸

 めんどくさいの捉え方

 

以前、めんどくさいについて感じたことを投稿しました。

 

なんでめんどくさいについて

こんなに気になっているのか、、、

極度のめんどくさがりの自分は、

行動を制約する全ての要因が

ここにあるのではないかと思ったからです。

 

先日のセッションでそういったことを話したら、

”めんどくさい”について、新たな視点が得られました。

 

今回はそれを言語化してみます。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

”めんどくさい”って

何のためにあるとおもいますか?

 

 

そう問われて、

以前ブログに書いたようなこと、

「世の中の大事なことって、たいてい面倒くさいんだよ」

という宮崎駿さんの言葉を借りながら答えました。

 

すると、

こういった見方もできますよ、と

教えてもらったことがまたアハ体験でした。

 

めんどくさいというのは感情です。

感情というのはどういったものであれ、

「自分を守るためにあるもの」です。

 

ということは、

めんどくいという感情もまた、

自分を守るためにあるもの。

 

大昔、人間は過酷な環境のなか生きていくだけで必死でした。

生きる為の食欲・性欲・睡眠欲以外のものは

できるだけエネルギーを使わないようにしたのです。

 

そのため、食欲・性欲・睡眠欲以外の感情は、

「めんどくさい」という言葉に集約されやすい。

 

3大欲求以外のことをしようとすると、

エネルギーロスがおこらないように、

自分を守るためのシステムが自動的に働いて

「めんどくさい」と感じさせるわけです。

 

なるほど〜

めんどくさいが自分を守るための感情だったとは。。。

 

考え方としてはめんどくさいはただの感情であり、

その感情と行動を結びつけて考えない方が良い。

 

「めんどくさいからやらない、行かない」

ということは、

「めんどくさい」という感情と

「やらない、行かない」という行動を

結びつけて考えています。

そこは切り離した方が良い。

だって感情はただの生理現象だから。

 

今回セッションで教えてもらった対処法は面白いです(^^)

 

めんどくさいという感情をキャラクター化して名前をつけます。

そしてめんどくさいと感じたときに、

そのキャラクターになんて声かけするか考えます。

 

僕はフォークに刺さったカピカピの湯葉みたいなやつが

ニコニコしているキャラクターをイメージして、

ニコちゃんと名付けました(笑)

 

 

めんどくさいと感じた時に

ニコちゃんが現れて、

「わかった、わかった」となだめたら以上、終わり。

あとは行動するだけです。

 

めんどくさいと思うことが多い人に

いくら論理的にこうした方がいいとか、

大義名分を作らせたところで、

究極それすらめんどくさいと感じてくるのが関の山。。。

すごく納得(笑)

 

なので、そういった人にはこの擬人化がおすすめということでした。

 

ニコちゃんは僕を守っているかわいいやつなので

大事によりそって行きたいと思います。

なんか仲良くなれそうー(笑)

 

 

今回の学び

・めんどくさいは自分を守るための感情

・感情と行動を結び付けない