事件が起こった夜。
何かあったら連絡をいただけることになっていたので
私は眠れない夜を過ごしていました。

仕事休める状態じゃないな・・・
チビたま明日学童どうしようか。
デカたまは大丈夫かな。

頭の中を色んな思いが浮かんでは消え浮かんでは消え。
夜が明けました。

娘の一大事ですもの。
仕事を休んだっていい。
そう決めて職場に休みの連絡を入れて
情緒不安定になっているチビたまは学童をお休みにしました。

家族みんなでデカたまに会いに行こう。

面会ができる13時を3人で待ちました。




□□□□




退院できるかもしれないと着替えと靴を持って向かったICU。
彼女は沢山の機会につながれながらもひらひらと手を振って
私たちを迎えてくれました。

正直複雑な気持ちでいっぱい。

だって親が嫌いなんですもん(本心じゃないかもしれないけどね)

そう思ってる相手だけど笑うしかない。

「どう調子は?」

「んー・・・別に」

そんなそっけない会話を交わしたような気がします。


医師の説明では身体はほぼ回復したこと。
けれどもう一度ぐらい血液検査をしたいことを伝えられました。

もう一人精神科の医師からは
夏休みですし一週間ぐらい入院を勧められました。


彼女に聞くと「帰りたい」その一言。


医師には何も話さなかったそうです。
そうどちらの医師にも・・・


家族だけになると「帰りたい」そう言う彼女に
どうするかオレサマと相談して、これはオレサマ判断で一晩入院させて
明日様子を見てから退院させることに決めました。


確かにこのまま連れて帰って繰り返すかもしれないと不安はある。
血液検査の結果も気になるところ。
なによりもう少し心の準備が必要だったので
それはその時の最良の決断だったと思っています。


入院は精神科病棟。


鍵のかかったドアの向こう側。
さらに鍵のかかったエリアに彼女が入院する部屋はありました。


部屋には何もありません。
時計も机も椅子も部屋にあるトイレにはドアさえもありません。
こんな場所に一晩か・・・・


あとでオレサマは「反省にはいい場所かもしれない」と、
そう言いましたが、正直健康な心の持ち主は病んでしまいそうな
そんな空間でした。


まさか入院になると思ってなかったので
一旦家に帰って着替えなどを取りに行きもう一度戻ることに。


「何か欲しい?」と聞くと
彼女が欲しいと言ったものはぬり絵でした。
所謂大人のぬり絵みたいなものが欲しいと。


OKが出たのでそれとマンガを一冊購入して再び病院へ。
もう辺りは薄暗くなって夕刻になっていました。


戻ると部屋には夕飯が運ばれていましたが食べる気配なし。


箸等を持ってくるのを忘れた私は
それを院内のコンビニに買いに行くついでにプリンとホットドックを
買って戻るとそれを何口か食べてくれました。


それが彼女が36時間ぶりに口にしたもの。


美味しかったかな?


でもほとんど食べなかったな。


食べることは生きることだから
食べる意欲が出ますようにとそう思わずにいられないのは
母親としての思いからかもしれませんね。


寂しいからチビたま泊まっていってよ


そういう彼女にまた明日来るからと言って別れた2日目。


少しずつ前に進まなきゃ。
あれこれ考えることは山積みです。
そう思いながら帰った家路までの道。


「おねぇちゃんは何で死にたかったの?」


そう聞いたチビたまに答えながら涙が出そうになるのを
必死にこらえました。
彼女にも影響がある。家も義父を亡くした義母とオレサマがいる。
しっかりしなきゃ。


私がしっかりしなきゃね。