義父の通夜と葬儀は土日の二日間で無事に終えることができました。


春からずっと忙しい私の仕事。
身体は疲れてはいるけれど、休まなくて済んでよかったと出勤した
月曜日の8月8日。

昼休みを少し過ぎた頃でした。


スマートフォン持ち込み禁止エリアで仕事をしている私。
職場の電話に中学の担任の先生から電話があったのです。


今日は午後から部活だって言ってなかったっけ?


その時はそんなことを呑気に思っていました。




『娘さんは元気ですか?』

は?え-っと、職場なんですけど。

『娘さんのLINEで薬を飲んで自殺をしたと言っていると
 学校の方に連絡を貰ったんですが・・・・』

は?あのー・・・
以前悪戯でそういった書き込みをしたことは知ってますが・・・

『それはどんな内容ですか?』

えー・・・ちょっと待ってくださいね。




スマートフォン持ち込み禁止エリアで働いている私は
慌ててロッカーに行き、彼女のLINEを確認すると
プロフィール画面に『薬を100錠飲んだ。手足がしびれてきた・・・』
そんな内容の書き込みを見つけて慌てて中学へ折り返す。



あの・・・書きこみありますけど。



この時点ではまだ悪戯だと思ってました。
けれど確認をお願いしますと言われ、その日お休みをとっていたオレサマへ
連絡するも電話は繋がらない。

デカたまに電話してもダメ。

今度はオレサマのLINE電話をしつこく鳴らしているとやっと繋がり
「あー・・?なんだよ」と眠そうな声。


寝てた?ねぇ、デカたまいる???


聞くと「知らねーよ」と言うが、どうしても確認してほしいとお願いすると
渋々寝室からリビングへ移動する音。


「寝てる」


じゃあ起こして!


「あー??おい、起きろ!お母さんが起きろってさ!」


電話の向こうでやりとりがあったと
バタバタと聞こえる足音。


「あいつトイレに逃げたわ」


そう答えるオレサマに事情を話すと机の上に薬のゴミが散乱しているとのこと。
とりあえず動けてるなら大した量じゃないかも。

その時はそう思ったんです。

なんとか電話を代わってもらったので、
先輩や先生を心配させて何やってんの!!
大丈夫なの??


そう問いかける私に「うん・・・うん・・・・」と答えるデカたま。
そして代わってもらったオレサマに


「あのさ、とにかく水を沢山飲ませてくれる?
 様子がおかしかったら連絡してね」


そう言って切ったあと、とにかく急ぎの仕事を片付けて帰ろうと
必死になるも終わらず・・・・
定時に上司が「何かあったんならとりあえず帰りなよ」と言ってくれたので
慌てて帰宅することに。


その間も担任からは「どうですか?」と問い合わせの電話があり
とにかく急いで帰らなきゃ・・・


帰宅できたのが18時過ぎでした。



「デカたまは???」



リビングにいたオレサマに聞くと「寝室で寝てる」と。


寝てるなら大丈夫なのかな?
そう思いながら様子を見に行くと
寝室にはベッドにうつ伏せに眠っているデカたまがいました。



「お母さんだよ。ねぇ、大丈夫???」



呼びかけた私に向けられた彼女の眼差し。



とろん・・・・



瞳の色は濁っていました。
焦点はあっていませんでした。



枕元にはコップ一杯だけの水。
それも飲まれている様子はありませんでした。



ダメだ。



一瞬でそう判断した私は、中学へ再び連絡して
病院へ連絡を入れたのが18時20分頃。
町医者からは救急車を呼んでくださいと言われ
すぐに119番したのが18時30分頃。



とりあえずあの状態を何とかしなきゃ。
それしか考えていませんでした。



バカなことして。
薬なんて飲んで。


理由は想像でしかありません。


虐め?受験??義父のこと???


その時点では知ることはできませんでした。



とにかく飲んだと思われる薬のゴミを持ち、
保険証と医療証を掴み
駆け付けた救急隊についていくだけ。



一緒に警察が来ました。



自殺未遂・・・・ですから。



そして私の闘いが始まったのです。