私は政治家です。
もうこの日の事は忘れました。
でも選挙の時だけは思い出します。
その方が受けがいいから。
そしてまた忘れます。
そんな私を選んだのはあなたです。
私はマスコミです。
もうこの日の事は忘れました。
なぜなら色んな出来事が次々に起きて、
みんな新しいものが好きだから。
私は電力会社です。
あの事故の事はとっくに忘れました。
お金がとても大事だから。
なによりもなによりも大事だから。
ずっと忘れていたいんです。
あなただってたくさん電気を使うでしょ?
私は放射能です。
私の事は早く忘れて下さい。
そうしたら、
風に乗って、波に揺られて、
地球上のどこにでも自由に行けるから。
でも忘れないで。
私を創ったのはあなたです。
私はあなたよりもずっとずっと長生きです。
そして、私は決してあなたの思い通りにはならない。
私はどうかな?
私には私の人生がそれなりにあって、毎日が必死で。
どんな時もずっと考え続けているわけじゃない。
だけど、
あの日、画面を通して見た衝撃的な光景。
一瞬でなにもかもを失う恐怖。
決して遠く離れた所での出来事ではないと実感した事。
人間はなんて無責任なものを創ってしまったんだという絶望感。
地球になんて事をしてしまったんだという申し訳なさ。
もしも自分のふるさとが永遠に失われたとしたら、
もう二度と、大好きな桜や海や星空が見られないとしたら。
そう考えた時のどうにも抑えきれない怒り。
忘れようにも忘れられない。
私は決して忘れないよ。
あなたは、もう忘れた?