「ゆうちゃん、四つん這いになって」

言われた通りに腰をあげると、モネくんは優しい手つきで私の身体に触れた。
太ももからお尻へと手を這わせていくが、肝心な箇所には触れられない。
じれったくて下半身が疼いていると、次第に割れ目に指を沿わせていく。

「濡れないなんて嘘じゃん。めちゃくちゃ濡れてるよ」

耳元で囁かれる。その言葉で更に濡れた。

それから指と口で愛撫され、心地の良い快感が全身を駆け巡り、私は久しぶりにイクことができた。

「ちゃんとイケたね。いい子、いい子」

そう言いながら、モネくんは私の頭を撫でる。
自分の性も欲もすべて受け入れられた気がして、心が軽くなった気がした。
それから私は彼にすべてを預けて、快感の波に溺れていったのだった。

****

「今日は呼んでくれてありがとう、ゆうちゃん。おやすみなさい」

モネくんを玄関まで見送った後、私はベッドに横たわる。

(久しぶりに女風利用したけど……良かったな)

心も身体も満たされた気がした。
以前に利用した時は独身だったが今は既婚者なので、虚しい気持ちにもならず快楽にだけ酔いしれることが出来た。

濡れないのは不感症でも歳のせいでもないということがよくわかったので、あとは旦那とのセックスが上手くいくかどうかだ。

ふと、眠気が襲ってくる。時刻は深夜4時。
心地の良い疲労感に包まれて、私は眠りに落ちた。

――数日後。

旦那が出張から帰って来る。
いつものようにダブルベッドで一緒に寝ようとすると、シーツからいい香りが漂ってきた。

(あ……これ、モネくんの匂いだ)

正確に言えば、マッサージを行った時のオイルの匂いだ。
その香りを嗅いだら、あの時の記憶が蘇ってきてーー。

「ねぇ、しよう?」

気がついたら夫を押し倒して、自分からセックスを誘っていた。

まだ触れられてもくすぐったい感覚はあったけれど、抜群に濡れていた。
このベッドで他の男に触れられた、という事実が私を興奮させていたのだった。
結果、夫と久しぶりに熱い夜を過ごすことが出来た。

「よかった……ちゃんとセックスできて」

お互いを嫌いになったわけでもないのにセックスができなくなるのは辛かった。
ましてや、こんな気持ちを抱えたまま、妊活を迎えてしまったら、セックスが『子どもを作るだけの作業』に変わってしまう気がして怖かったのだ。

そうなる前にちゃんとセックスが『愛を確かめ合う行為』であることを認識できて良かった。

(女性用風俗って、もはや女性にとって精神療法なのかもしれない……)

私と同じ様にパートナーとの性に悩んでいる女性はきっといる。
だからこそ、この世界をもっと広めるべきだ。多くの人に知ってもらいたいと思った。

「そうだ。女風を題材にした物語を書こう」