ふぅぅ~・・・。
珠里Side
「ちょっと、気になった。やっぱ、その引っかき傷何かあるでしょ。」
まるで、全てわかっているような目で、私の頬を見る・・・誰だっけ。
「・・・・あなたには、関係ないじゃぁないですか。」
「ま、そうだけどね。俺、これでも弁護士だから。興味深いというか?」
「・・・・・・お金はないですよ。」
ハハ、とその男の人は笑った。
そして、優しげな目で、わたしのほうを見る。
「今まで、児童虐待の事件、いろいろとやってきてるんだ、タダで。
キミは、ものすごく辛そうだ。目が、泣いてる。」
真剣な表情。その男の人は、私に、手を差し伸べる。
一瞬、迷った。
「信じてもいいんですか。」
つい、口が勝手に、そう言ってしまう。
私は今、私の心は、壊れる寸前だって、わかってるから。
男の人は、またハハ、と笑って。
「もしも、何かあった時は、すぐにココに電話するといい。んで、時々この店に顔出すよ。」
差し出された名刺には、『松居 政宗』って、書いてあった。
私はそれを受け取って、一瞥する。
「・・・・・あ」
気づいた時には、笠野さんは、いなくなってた。
いなく・・・なってた。
少し、信じてもいいのかな、って思ってしまった。
何となく、そう・・・お父さんに、似てるからかもしれない。
お父さんとお母さんは、私が5歳の時、離婚した。
お母さんは、その後すぐ、私を孤児院へ・・・。
「思い出しちゃ・・・だめ。」
私は、嫌がる足を、無理やり、引っ張って、家路についた。
「ねー、珠里。今日は帰り、遅いからぁ、晩御飯は要らないよぉ。」
『私の娘』、『My daughter』、亜由美ちゃんが、苦笑いしながら言った。
「そうなんだ?どこか行くの?」
「んー、彼氏と・・・ちょっとお出かけ。」
歳が近い、ちゅーか、1つ上の亜由美ちゃんは、
私から見ると、かなり大人びていた。
明るい髪は、ちょっと、悪っぽかったけど。
「ふぅ~ん。ごゆっくりしてきてねぇ♪」
ちょっと、ちょっとだけ、羨ましかった。
そりゃぁ、私は、政宗さんが、いるわけだけど。
歳の差とか・・・いろいろと?
・・・ワガママ、言っちゃ、いけないんだった。
政宗さんは、あの家から、私を・・・救い出してくれたんだから。
「あ、やべ。じゃぁ、行ってきます!」
亜由美ちゃんが、時計を見て慌てた。
「ん、いってらっしゃい!」
私はできるだけ、明るく、元気に、『姉≒娘』を送り出した。
急展開しようかするまいか迷ってます。