珠里Side


初めて会ったのは、バイト先の居酒屋だった。



「ふぅん、じゅりって言うんだ」


優しそうな、見た目は、二十代後半くらいかな?


結構、イケメン。高そうなスーツを着て、書類とにらめっこしていた


その人は、私に声をかけた。


「え?あー・・・はい。」とりあえず、様子見で返事をしてみる。


たぶん、ネームプレートを見たんだろう。


「どうしたの?ほっぺたに引っかき傷。」


・・・・・・・・・


「いろいろ・・・あったんです。いろいろ・・・」


私は、不意にも、その人懐っこそうな笑顔に、


少し助けを求めるかのように、呟いてしまった。


「・・・・・・・何があったのかは知らないけど・・・・今は接客中だからさ、

せめて笑顔になってみたら?可愛いよ。」


「・・・・・・」


反応、仕様が無かった。


そこで、にっこりと笑うわけにもいかないし。


私は、できるだけ、気にして無いかのように、


注文されたものを繰り返し読んで、


厨房に戻る。


「ほんと・・・なによ、あの人。」


何か、引っかかった。


何となく、いつものように、冷たく接することが、できなかった。


ついには、接客中なのに、ほとんど無言で、


厨房に戻ってきてしまった。


はっと、我にかえって、鏡を見たら、顔は真っ赤だった。



「お疲れ様でーす。」

「あぁ、珠里チャンお疲れ。」


エロそうな目つきの店長さんが、ニヤつきながら、返事をした。


重い引き戸を開けて、外に飛び出す。


きれいな空気・・・お酒とか、タバコとかの臭いがしない、


秋の夜の、少し肌寒い空気。


「んーと、じゅりちゃん、だったっけ。」


「・・・・!!?」


一瞬、ドキッとして、声のしたほうを向く。


「えっと・・・。」



お久しぶりの更新ですww