11年前ですって。
あのとき。
まだ会社勤めをしていて。
まだ膝上のスカートなんか履いていて。
まだ娘は生まれていなくて、夫婦でアパート暮らしをしていた。
義実家(今の自宅)へ避難し、停電した暗い部屋で、バッテリーに古いワンセグテレビを繋いで知った全県停電のニュース。
沿岸部の津波映像。
沿岸では、街がみんな無くなってしまったのではないかという恐怖。
内陸部に住む私は、そのとき本当の事の重大さに気付かされた。
会社の同僚だった人が陸前高田に住んでいた。
彼女は臨月を迎えていて。
後で話を聞くと、彼女は高台にある嫁ぎ先にいたので無事だったが、海沿いにあった実家は津波に飲まれ、実家の家族は全員亡くなった。
臨月の体で、両親、兄弟、祖母…家族全員の遺体確認をしたそうだ。
4月に入って彼女が元気な女の子を産んだのが、当時何よりも嬉しかったのを思い出す。
私は被災者ではない、と思う。
被害の少ない内陸部にいたので、家も倒壊しなかったし、仕事も失わなかったし、親族はみんな無事だった。
でも、すごく身近な出来事だった。
当時を思って、これからを思って、祈ります。