1日1つ、ビールの話 1☆どんなお礼がいいのかな
「ピピ、ピピ、ピピピピピー」
小さくっても、電子音ってどうしてこんなにうるさいんだろう。
チュンチュン、って雀の鳴き声は心地良いのに。
どこか近所の家でなっている目覚ましらしき音が、6時半くらいから30分以上続いていたから、ベッドでごろごろしながら、うるさいなぁと思っていた。
「あなたの目覚ましなの?」
同じように、隣の部屋で目が覚めてしまったらしい母が聞く。
「違うよ。私のなら消すもん。ちょっと、大きめの声で窓から言ってみようか・・・
『すみません、目覚まし止めてください』
・・・消えない。聞こえてないな」
起きだした母は、私達の寝室の前にまたがる、南側のベランダの床を拭き始めた。綺麗に保ちたいから、と、この家を建てた10年前からの、彼女の習慣だ。1年半前からの住人である私は、休みだからとゴロゴロしながら・・・の会話が始まる。
「まだ鳴ってるね」
「いつになったから消えるのかしらねー」
「うーん、消さずに急いで出かけちゃったのかな。それか、寝てる間に死んでたら、止められないね」
「そうね、寝てる間に亡くなる方いるもんね」
実は・・・と母が切り出した話。10日ほど前、私が海外に仕事に出る前日の夜、母はあまりに頭痛がひどくて、もし翌朝死んでいたら、娘の私はどうするのかと心配していたそうだ。
それから、父の話にもなる。父はこの8年近く、何かで入院しては退院し、を繰り返し、今のところは落ちついて家で暮らしている。生協のお姉さんがチラシにそえてた手描きイラストを、何気なく塗ったことがきっかけで、趣味は塗り絵。しかも、かなりうまい。暇さえあれば、各国から私が買ってくる塗り絵を、ドイツの色鉛筆で仕上げている。お気に入りはイランの塗り絵。又行く機会があるかなぁ・・・
そんな父は、たまに少し、ぼけてきてる感じもするが、それでも、又翌日はしっかりしたり・・・を繰り返す。脳を含め、人間の身体は不思議なものだとつくづく思う。
「そういえば、この間、テレビで敗血症についての番組があってね。危ない病気なんですって。処置を素早くしないと半分は死に至るそうよ!でね、覚えてる?お父さんが最後に入院した時のこと。あれ敗血症だったのよ」
そう、そのときは私も家にいた。午前2時頃母が、父の息が荒く、熱も凄いから救急車を呼ぶ、と言って電話をしていた。真夜中だから気を遣ってくれたのか、サイレンの音を鳴らさずに、静かに家の前に停まった車から、2人の救急隊員が出てきた。
こちらに、と2階の父のベッドまで私が案内したのだった。父は最初、大丈夫だから行かない、と言い張っていたが、行かなきゃダメ!という母の言い方が気に入らなかったから、だったのか、救急隊員の方が
「熱を計りましたが、かなり高いですね。じゃ、一緒に行きましょう!」
と、やさしく力強く話しかけてくれたら、すぐ起き上がって服を着替え始めた。
病院に行くのだからパジャマで良いのに、とおかしそうな母とは裏腹に、隊員のお兄さんは、几帳面な方なんですね、素晴らしいと父を褒めてくれたのだという。そして、病院でも、レントゲンを取った医師はすぐに肺炎の可能性は少ないようだ、と話していたのだそうだ。
「血液検査もしました、って言ってたけど、3日後に細かい結果は判るって言うわよね。だから、可能性を考えて薬を投与したり、処置してくれたんでしょ。その判断が的確だったって事よ。でなかったら、お父さん死んじゃってたよね。」
「そうだね」
そのときは、母も私も、万一のこともあるかもしれないね、と覚悟したのだった。
「ほんとにありがたいわね。お医者さんもだし、救急の方も。だってすぐ来てくれたのよ。何かお礼したいなと思うのよ。そう、お礼がしたいわね、ほんとに。」
「お礼って、どこに持って行くの?」
「近所の消防署」
「そうなんだ。何を持ってこうと思ってるの?」
「ビール券とかどうかしら」
「えっ・・・ビール券?」
意外な答えに驚いた。何かあればすぐに車を運転して、出動しなくてはいけない公的機関に、ビール券ってどういう発想なんだ、と内心思いつつ
「・・・なんでビール券が良いと思ったの?」
「最近、毎日暑いじゃない。男の人が多いんだし、みんなで飲むこともあるんじゃないかと思って」
「そうか・・・じゃ、選べるギフトカタログとかは?あれでビールも選べるよ」
実際、以前お返しにいただいたカタログに、いわて藏ビールとソーセージのセットがあったから、私はそれにしようと言い、母は大賛成。薬の関係で飲めない父は、ムスッとして機嫌をそこねていたことがあった。昔は毎日、飲んでたのにね・・・
そう、お礼とか贈り物って意外に難しい。例えば仲良しの友達とか、カップル、家族同士ならある程度、好みも判って、サプライズプレゼントもできるけど・・・こういう時のお礼は何が良いのかな。
皆さんだったら、どういう物を送りますか?
もし、お奨めがあったら教えて頂けたらうれしいです。
そんなこんなで今は8時半。階下で、両親は何かバトっている・・・なんだかんだ言って2人とも元気なのは、大きな声でコミュニケーションを取るこの習慣のおかげなんだろうか。
近くで聞くとイライラするから、何か工夫しなくっちゃ・・・あと両親と居られる時間も、そんなに長くないかもしれないしね。
そうやって、やっぱり家を出ようかと思っても思いとどまる私。優しくてうるさすぎる母と、昔から良く判ってて、すっとぼけるキャラにプラスし、更にとぼけてる素敵な父と、ご飯食べてくることにするか。
あ・・・どこかで鳴ってた目覚まし時計は、もう消えてました。
+++++
<後書き>
毎日(できるだけ)ひとつ、エッセイ書いてみようかな~と思って書き始めました。
なぜかと言うと・・・先日ビールについて、記事を書いてみませんかというお声をかけて頂いたんです!!
で、トライしてみたものの、納得のいく文章を書くのはなかなか難しい。仕事柄、国内外に移動することが多く、ばたばたすると、すぐ筆がストップ。コンスタントに記者として記事を書く方ってすごいな~と本当に尊敬!!
同時に、以前から
「ビールエッセイみたいなものを書きたいな」
と思ってた自分を思い出し・・・書く習慣もつくしと思い立ったのでした。
よく雑誌とかで、女性が書いてるエッセイ風にしてみたつもり・・・どうでしょう?
文章を書くことは、昔から好きで、何がきっかけか忘れてしまったけど、高橋恵治さんの日刊メールマガジン「365日の書く力!」も日々愛読中。昨日、仕事の合間に
「365日か、私も毎日、何かひとつ・・・そうだ、『1日1つ、ビールの話』がいいかも」
それをテーマにしました。高橋さん、ありがとうございます。
こちらを読んで下さっている皆さまにも感謝!少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです。
なお、宣伝もしておこう・・・ビールエッセイの執筆ご希望、ビール他イベントのMCご希望等がありましたら、下記メールアドレスまでお願いします♪良かったらご感想と、「お礼」のおススメも。
matsuneee★yahoo.co.jp
(メルアドって載せられないのかな。★をアットマークにしてね、って書いているの良く見るので、マネ。)
なお、地方や海外での仕事中、特に僻地にはネット環境がないこともあり、返信は気長にお待ちください。3週間経っても返信がない場合、再度ご連絡お願いします。内容に寄ってはお返事できないこともあります、ご了承くださいませ。
なぁんて、最後どうも話が固くなっちゃったけど・・・とにかく。今日のビールは何にしようかな♪
「ピピ、ピピ、ピピピピピー」
小さくっても、電子音ってどうしてこんなにうるさいんだろう。
チュンチュン、って雀の鳴き声は心地良いのに。
どこか近所の家でなっている目覚ましらしき音が、6時半くらいから30分以上続いていたから、ベッドでごろごろしながら、うるさいなぁと思っていた。
「あなたの目覚ましなの?」
同じように、隣の部屋で目が覚めてしまったらしい母が聞く。
「違うよ。私のなら消すもん。ちょっと、大きめの声で窓から言ってみようか・・・
『すみません、目覚まし止めてください』
・・・消えない。聞こえてないな」
起きだした母は、私達の寝室の前にまたがる、南側のベランダの床を拭き始めた。綺麗に保ちたいから、と、この家を建てた10年前からの、彼女の習慣だ。1年半前からの住人である私は、休みだからとゴロゴロしながら・・・の会話が始まる。
「まだ鳴ってるね」
「いつになったから消えるのかしらねー」
「うーん、消さずに急いで出かけちゃったのかな。それか、寝てる間に死んでたら、止められないね」
「そうね、寝てる間に亡くなる方いるもんね」
実は・・・と母が切り出した話。10日ほど前、私が海外に仕事に出る前日の夜、母はあまりに頭痛がひどくて、もし翌朝死んでいたら、娘の私はどうするのかと心配していたそうだ。
それから、父の話にもなる。父はこの8年近く、何かで入院しては退院し、を繰り返し、今のところは落ちついて家で暮らしている。生協のお姉さんがチラシにそえてた手描きイラストを、何気なく塗ったことがきっかけで、趣味は塗り絵。しかも、かなりうまい。暇さえあれば、各国から私が買ってくる塗り絵を、ドイツの色鉛筆で仕上げている。お気に入りはイランの塗り絵。又行く機会があるかなぁ・・・
そんな父は、たまに少し、ぼけてきてる感じもするが、それでも、又翌日はしっかりしたり・・・を繰り返す。脳を含め、人間の身体は不思議なものだとつくづく思う。
「そういえば、この間、テレビで敗血症についての番組があってね。危ない病気なんですって。処置を素早くしないと半分は死に至るそうよ!でね、覚えてる?お父さんが最後に入院した時のこと。あれ敗血症だったのよ」
そう、そのときは私も家にいた。午前2時頃母が、父の息が荒く、熱も凄いから救急車を呼ぶ、と言って電話をしていた。真夜中だから気を遣ってくれたのか、サイレンの音を鳴らさずに、静かに家の前に停まった車から、2人の救急隊員が出てきた。
こちらに、と2階の父のベッドまで私が案内したのだった。父は最初、大丈夫だから行かない、と言い張っていたが、行かなきゃダメ!という母の言い方が気に入らなかったから、だったのか、救急隊員の方が
「熱を計りましたが、かなり高いですね。じゃ、一緒に行きましょう!」
と、やさしく力強く話しかけてくれたら、すぐ起き上がって服を着替え始めた。
病院に行くのだからパジャマで良いのに、とおかしそうな母とは裏腹に、隊員のお兄さんは、几帳面な方なんですね、素晴らしいと父を褒めてくれたのだという。そして、病院でも、レントゲンを取った医師はすぐに肺炎の可能性は少ないようだ、と話していたのだそうだ。
「血液検査もしました、って言ってたけど、3日後に細かい結果は判るって言うわよね。だから、可能性を考えて薬を投与したり、処置してくれたんでしょ。その判断が的確だったって事よ。でなかったら、お父さん死んじゃってたよね。」
「そうだね」
そのときは、母も私も、万一のこともあるかもしれないね、と覚悟したのだった。
「ほんとにありがたいわね。お医者さんもだし、救急の方も。だってすぐ来てくれたのよ。何かお礼したいなと思うのよ。そう、お礼がしたいわね、ほんとに。」
「お礼って、どこに持って行くの?」
「近所の消防署」
「そうなんだ。何を持ってこうと思ってるの?」
「ビール券とかどうかしら」
「えっ・・・ビール券?」
意外な答えに驚いた。何かあればすぐに車を運転して、出動しなくてはいけない公的機関に、ビール券ってどういう発想なんだ、と内心思いつつ
「・・・なんでビール券が良いと思ったの?」
「最近、毎日暑いじゃない。男の人が多いんだし、みんなで飲むこともあるんじゃないかと思って」
「そうか・・・じゃ、選べるギフトカタログとかは?あれでビールも選べるよ」
実際、以前お返しにいただいたカタログに、いわて藏ビールとソーセージのセットがあったから、私はそれにしようと言い、母は大賛成。薬の関係で飲めない父は、ムスッとして機嫌をそこねていたことがあった。昔は毎日、飲んでたのにね・・・
そう、お礼とか贈り物って意外に難しい。例えば仲良しの友達とか、カップル、家族同士ならある程度、好みも判って、サプライズプレゼントもできるけど・・・こういう時のお礼は何が良いのかな。
皆さんだったら、どういう物を送りますか?
もし、お奨めがあったら教えて頂けたらうれしいです。
そんなこんなで今は8時半。階下で、両親は何かバトっている・・・なんだかんだ言って2人とも元気なのは、大きな声でコミュニケーションを取るこの習慣のおかげなんだろうか。
近くで聞くとイライラするから、何か工夫しなくっちゃ・・・あと両親と居られる時間も、そんなに長くないかもしれないしね。
そうやって、やっぱり家を出ようかと思っても思いとどまる私。優しくてうるさすぎる母と、昔から良く判ってて、すっとぼけるキャラにプラスし、更にとぼけてる素敵な父と、ご飯食べてくることにするか。
あ・・・どこかで鳴ってた目覚まし時計は、もう消えてました。
+++++
<後書き>
毎日(できるだけ)ひとつ、エッセイ書いてみようかな~と思って書き始めました。
なぜかと言うと・・・先日ビールについて、記事を書いてみませんかというお声をかけて頂いたんです!!
で、トライしてみたものの、納得のいく文章を書くのはなかなか難しい。仕事柄、国内外に移動することが多く、ばたばたすると、すぐ筆がストップ。コンスタントに記者として記事を書く方ってすごいな~と本当に尊敬!!
同時に、以前から
「ビールエッセイみたいなものを書きたいな」
と思ってた自分を思い出し・・・書く習慣もつくしと思い立ったのでした。
よく雑誌とかで、女性が書いてるエッセイ風にしてみたつもり・・・どうでしょう?
文章を書くことは、昔から好きで、何がきっかけか忘れてしまったけど、高橋恵治さんの日刊メールマガジン「365日の書く力!」も日々愛読中。昨日、仕事の合間に
「365日か、私も毎日、何かひとつ・・・そうだ、『1日1つ、ビールの話』がいいかも」
それをテーマにしました。高橋さん、ありがとうございます。
こちらを読んで下さっている皆さまにも感謝!少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです。
なお、宣伝もしておこう・・・ビールエッセイの執筆ご希望、ビール他イベントのMCご希望等がありましたら、下記メールアドレスまでお願いします♪良かったらご感想と、「お礼」のおススメも。
matsuneee★yahoo.co.jp
(メルアドって載せられないのかな。★をアットマークにしてね、って書いているの良く見るので、マネ。)
なお、地方や海外での仕事中、特に僻地にはネット環境がないこともあり、返信は気長にお待ちください。3週間経っても返信がない場合、再度ご連絡お願いします。内容に寄ってはお返事できないこともあります、ご了承くださいませ。
なぁんて、最後どうも話が固くなっちゃったけど・・・とにかく。今日のビールは何にしようかな♪