永遠のメイドールズのその③です
「タイヤが見えました。バルブももうすぐですね
たしか運転席ドアの後ろあたり…」
ズルズルっ壊れた身体で慎重にアオイは近づいて行きます。
「ありました。これがバルブですね。
これを回さないとガスは止まりませんね。
回そうにも両手がありませんが回す方法は他にもあります」
そう言ってアオイはバルブを自分のむき出しになった胸の機械の歯車にひっかけました。
「なんとか胸のギアに引っかかりました。回転…開始…
お願いです 回ってください」
ギギギギギギ〜〜
アオイは自分の身体のモーターを一生懸命動かして胸の歯車を回します。
「お願い。 お願い回って。
あゆみちゃんを助けて」
「モモに
モモにもう一度会いたい・・‼︎」
シュウウ〜〜・・・・
ガスの噴出の音がだんだん静かになって行きます。
ガスの周りを取り囲む人々も心配に見守ります。
その中にはモモもいます。
「聞こえる…アオイちゃんの声が聞こえる。 迎えに行かなきゃ」
止める消防士を振り切ってモモは走り出します。
「アオイちゃん今迎えに来行くからね
アオイちゃ〜〜ん」
ガスが薄くなって来てうっすらと消防車も見えて来ました。
人影も見えました。
「アオイちゃん‼︎」
そこにはアオイの胸アーマーを持ったあゆみがいました。
「これはアオイちゃんの…」
モモはアオイの胸をもったあゆみを見て呆然としました。
「そんなアオイちゃん 壊れてバラバラになっちゃったの…」
ガスがなくなり辺りを見回すと見覚えのあるパーツが落ちています。
「アオイちゃん こんなになっちゃって」
パーツを拾いながらモモは崩れ落ちます。
「アオイちゃ〜〜ん」
「モモ…」
「あれ…アオイちゃんの声…」
「モモ…ここです…」
消防車にもたれかかっているアオイを見つけました。
「アオイちゃ〜〜ん‼︎」
「機能0.5パーセント。
もはや自力で動けません。
早く回収してください。モモ。」
ボロボロのアオイをモモは抱き起こします。
「アオイちゃん生きててよかった〜〜」
「モモ…私はロボットです。生きているという表現は正しくありません」
「もういいよ〜〜アオイちゃんよかった〜〜」
そこにあゆみも近づいて来ます。
「アオイちゃんこれありがとう。
女の子なんだから胸隠さないとダメだよ」
そう言って胸アーマーを差し出します
「あゆみちゃんも助かってよかったです。」
「モモ… また会えました。
ただいま」
「おかえり
迷子のアオイちゃん」
陽も傾き始め
2人を優しく照らしていきました
おわり