明日夢見て その2日目(再掲載) | 綾波零の『笑えばいいと思うよ』第4部

綾波零の『笑えばいいと思うよ』第4部

日常の そして過去のことを日々綴っております。
アラフィフの怪しいオヤジが書いていますが
しばらくお付き合いください。

先月と比べると 夕方 暗くなるのも遅くなったのだろうか?

そんな4月の初旬。


駅前にある1軒のラーメン屋に球太郎と雪子はいた。


「星さぁ~・・・お前・・・寒がりなんか?」


雪子の制服。

今時の女子高生のように スカートが短くなっていたのだが・・・

なぜかその下に紺のジャージをはいていた。


「そんなの・・・いいじゃん。 足が太いんだから!」


「大根足なんや?(笑) ホンマ ぶっとい足してそうやね?」


「うるさい!オバQ 早く食券買って!お腹がペコペコなんだから!」


「はいはい・・・普通・・・盛りでええな?」


「オバQはチャーシュー大盛りって 言ってたよね?私もソレにして!」


「あのなぁ?それやと1200円すんねんて 食えるのか?ボケ」


「夕飯前よ!そんなの」


「1200円は痛ぇなぁ・・・ホンマに」


「はやく!」


「へぇへぇ・・・」


そんなやりとりをしながら店の中に入ってゆくふたり。


自動販売機で食券を買い カウンターの席に並んで座る。


「トンコツラーメンは九州で食ったけど トンコツ醤油っちゅう・・・神奈川ラーメン 食ってみると

案外うまいなぁ?」


「関西にはないの?」


「関西では やっぱうどんやから・・・あ!こっちのおつゆ真っ黒のうどんは食えんなぁ・・・」


「オバQはいつ こっちに来たの?」


「引っ越してきたんわ先月や・・・親父の転勤でな」


「野球やってたのに・・・頭がいいんだね?オバQは?」


「勉強と野球を両立させてなんぼやからな」


「ふぅ~ん・・・変な名前なのに・・・(笑)」


「(怒)それからなぁ お前 球太郎さんとか 池田君って・・・いい加減 そう呼ばんかい!」


「・・・向うでは ”なにわのオバQ ”って呼ばれていたんでしょう?(笑)」


「なんでソレ 知ってんねん?」


「何かのニュースで見た覚えがあるから。名前が球太郎・・・って妙な名前だったし(笑)」


「じゃかあしい・・・ったく・・・」


端から見てれば 何となく仲がよいカップルに見えなくもなかったふたりだった。


店内のテレビではプロ野球開幕戦巨人VSヤクルト戦の放送が始まっていた。

球太郎はラーメンを頬張りながら


「先発 開幕投手はソンケーする星さんやぁ~♪」


「あのバカ 夕べは眠れたのかなぁ・・・?」


「星さんに向ってバカはないやろ!同じ苗字なんやから お前も応援せんかい!・・・・・はぁ?」


テレビを見ていた球太郎が視線を雪子のほうに移して・・・

その雪子が舌を出しているので

ドンブリを見たら すでに汁も飲み干して空になっていた。


「Qさん~おかわりしてもいい?ねぇQさん~」


球太郎は後日 そのおねだりする雪子がかわゆく見えたから 思わず財布から1000円札を

出してしまった・・・とごく親しい友人に語る。


「ゆっくりテレビ見たいから・・・ホレ」


と雪子に札を渡した。

雪子は販売機で・・・食券を2枚 足りない分は自分の財布から出して購入する姿を球太郎は

見ていなかった。

カウンターの席に雪子が戻るなり・・・


「お前がぐちゃぐちゃ言ってるから 巨人ピンチやんけ!ノーアウト満塁や!」


「そんなの私のせいじゃないでしょ?」


「ヤクルトの4番やで・・・」


球太郎は箸を止めて テレビに見入っている。

雪子はお冷の水を一口飲んで


「オバQなら こんなとき・・・どんなリードする?」


「そやなぁ・・・長打をされないために低めに球を集めるかな?内野ゴロでホームゲッツーが狙いやな」


「私なら ウィニング・ショットで3人三振を狙うな」


2杯目のラーメンを豪快にすすりながら雪子が言う。


「プロはそんな甘ぁ~ないでぇ~ 雪子はんはやっぱ素人やな」


「見てて・・・きっと全部フォークボール投げるよ」


「何を知った口 きいてんねん。満塁でフォークはないやろ」


そんな時にテレビの画面ではヤクルトの4番バッターが空振り三振するシーンが映し出され

解説者は3球ともに落ちるボールでしたね・・・と実況していた。


「たまたま・・・やろ(汗)」


「次もフォークよ・・・」


雪子の予想通り 残りの二人のバッターに対し すべてフォークボールという落ちる球で三振に

打ち取り ピンチから脱したのであった。

自分の尊敬する選手の活躍に喜びたかった球太郎だったが・・・なぜか素直に喜べなかった。


「この女・・・何者?」


3杯目のラーメンをすする雪子を見ながら そう思った。

そして


「あのなぁ~!?お前・・・」




つづく



綾波零の『笑えばいいと思うよ』第4部


この作品はフィクションであり 登場するプロ野球球団名以外の人名 学校名は架空のものです。