こんばんは。


彩菜です。



視覚障害と、聴覚障害を、併せ持つ[盲ろう者]の私の、

書き散らしてく随筆もどき。

ゆったりとよんでね。




歯医者とは恐ろしいものである。

できることならお近づきにはなりたくない。

しかし、虫歯とかでなくとも、いかざるを得ない時がある。

そう、親知らずだ。


出かける30分前から、「親知らずだってよぉ〜w」と、祖母に突っかかり、ひぃひぃ言いながら靴下を履く。

車に乗っても、待合室の椅子に座っても、スマホを見る余裕がないほど挙動不審である。


心の準備など1mmも、あったものではないにも関わらず、無駄に早くご指名を食らう。

いーーんと歯医者椅子が傾き、明るいライトが眼前に〜。

かと思いきや、メガネの上からタオルで視界が遮られる。

お、これで目線をどうするか問題は、解決じゃんよ!と、安心したのも束の間、視界は私の口の中をのぞいて、不穏なことを喋り出す。


私が抜いてもらいたい親知らずは、左下の性格が悪い方である。

しかし、そいつは神経とか骨にくっついてるらしく、大学病院の歯科でなくてはいけない、紹介状書いとくねん。

んで、そろそろ大学に帰らねばならないため、春休みごろになるんだけども、上の親知らずが伸びてきて、下の歯茎が痛む恐れがあるから、まずこっちを抜くねん。

という感じに話がまとまり治療開始。


私は、いつ歯が抜かれるか分からず、怯えたおす。

歯科医が歯を覗くたびに、「え、もう抜いた?まだ?」と、取り乱す。

「掃除」するという言葉で、あ、そっか、と、平静を取り戻したが、なんかしらんがめっちゃいたいぃぃ。

歯と歯茎の間の、汚れやら石やらをゴリジョリ。

全部の歯を掃除して、うがいすると、めっちゃ血の味。

どうでもいいけど、歯医者の水って妙な味だよね。


「これから抜くよー」、「頑張ってー」

歯科いと母が死刑宣告してきた、ヤバいヤバい。

ってか、麻酔してもらったっけ?え?。

針が刺さったりとかそういう麻酔っぽいの、なかったけどだいじょーぶかよ。

でも、なんかさっき、苦い味とか小さいスポンジみたいなんとかあったけど、あれが麻酔かね?と考えてるうちに、口の中に綿ぼこと手が侵入してきた。


がっしりと親知らずを掴んで、上下左右前後、グラグラグラグラ。


最後に、グッと力が込められて、スポンと何かが抜けていく感覚。

痛みは感じなかった。


たちまち口の中は血液で満たされそうになる。

慌てて水を流し込み、念入りに濯ぐ。


綿の塊を傷口に詰め込んでもらって、、終了。

薬をもらい、うまく喋れない私は、もがもが言いながら帰宅。


「大したことなかったやろ」

母は涼しい顔でそういうけど、春休みにこれより酷いめに会うことを私は忘れていない。

ああ、なんだよ、大学病院とかさ、こえぇ。


現在、傷口は完全に塞がっている。

歯医者の翌日には美味しくお寿司を食べた。


完。もしくは続く。