こんばんは。

彩菜です。


視覚障害と、聴覚障害を、併せ持つ[盲ろう者]の私の、
書き散らしてく随筆もどき。
ゆったりとよんでね。



今夜は、スーパーブルームーンで持ちきりである。
見えない私にはまるで関係ないけど、見える人間が見ずにいるのは、もったいないなと思う。

「今日と明日は超レア満月らしいから、見といてな」
母に電話をかけてこう命じた。

「見といてなって……わかった」
あっけに取られたような声がして、おかしなことを言ったかなと訝る。
が、確かに、「月見にいこか」と言われるならまだしも、見とけ、と言われるのは珍しいのかもしれん。
最後に月を見たのは、いつだったかなぁ。

何気なく、カーテンをめくって大きな窓から夜空を眺めたら、ポツンと神々しい光があって、背中がゾッとした。
あれはなんだ、もしかしてこっちを見てる?
小さかった私は、ヒヤリとしたものを感じながら「おつきさま」という存在を思い出して、ああ、そうだそうだ、あれが噂の「おつきさま」ではないか。
などと考えて、遅れながらに「こんばんは」と挨拶した。

あー、懐かしいな。
月を見るのはいいんだけど、見えにくくなってから「あっちに月が見えるよ」といわれても、探すのに時間がかかって、
あっちあっち、もっと上、とか言われながら探すのが苦痛になった。

アレな話、ただ光が見えるだけである。
穴が空いているようにも見えるし、なんか、ああいう、黒地に一つ光るものって怖いんだよ、目みたいでさ。
あー、でも、星が見える人にはそういうもんでもないのかも?
星は見たことがないからなんとも。だけど
たぶん、どっちにしても、見られてる気がすると思う。

夜景を見ても、「ただのライトやん」と、母の夢をぶち壊してしまったこともある。
もしかして、自分は冷めてるのかも?と思い始めたのも、こういう経由だったりする。


とわいえ、今夜の月はとても近くに見えて明るいとのこと。
たぶん、見て損することはないだろう。
では、良い月を。