こんばんは。


彩菜です。


視覚障害と聴覚障害を、併せ持つ「盲ろう者」私が、

だたがた震えながら綴る、随筆もどき。

ゆるく読んでいただければ幸いだ。


朝でも、昼でも、もちろん夜でも、「こんばんは」の彩菜である。


何をやっているのだろうと、自問する。


校舎前のめちゃくちゃ目立つベンチに腰をかけ、横には点字の教材が一つと、飲み干された缶コーヒー。

膝に薄いタオルをかけ、寒さに震えながら、キーボードの上でぎこちなく指が踊る。


寒い、そしてちょー眠い。


午前4時ちょうどに、寮の自室を飛び出して、自動販売機を求め、彷徨く。

点字ブロックをたどり、迷い、ぐるぐる行ったり来たり、

ようやく、自販機と巡り合うことができた。


テキトーに、ブラックコーヒーと点字で表記された、ボタンを押す。

運良くホットだった。


すぐさま、キャップを捻り一口。

苦味が染み渡り、暖かさが手と胃を循環していく。


30分も迷いに迷って、歩き回った甲斐があった。


また、ベンチを探してうろうろ。

何度、立ち止まって呆然としたかわからないが、どうにか知っている道に出た。


うっすらと明るい空を、英語のテキスト片手にチラ見する。

なんかとても優雅だ。


英語は何が何だか、さっぱりパッパリなわけだが、とりあえずそれっぽいメモは仕上がった。

出来栄えは、最低ランクだと思われる。

ふん、やったかどうかが肝心なのよ、先生も仰ってたわ!



本当に睡眠不足なのだが、湿った夜明け前の木々の香りが、尾行でばんばんばらら。


徐々に、日傘してきて、自分の指先が悴んでくる。

もう5月だと言うのにも関わらず、明け方は今日に限って冬のようだ。


追加のコーヒーが欲しい。


警備員さんとおはようさん。

たぶん、どっかで見られてんだろなぁ。

「妙な学生がうろついてました」などと、報告がいかないことを祈っておこう。


ああ、寒い、そして眠い。

それでも、また同じ朝を、いくつも繰り返すかもしれない。


そろそろ、おねんねの時間……

なんてねぇぇぇぇーーー!!


はい、そういうことである。

良い1日を。