こんばんは。
彩菜です。
視覚障害と、聴覚障害を併せ持つ「盲ろう者」の私の、
ちょっと普通っぽい高校生の日常のお話。
盲学校在学中です!
あまり身構えず、ゆるく読んでいただければ幸いです。
(//∇//)
いきなりで申し訳ないのだが、大惨事である。
何が起きたかを最初から事細かく説明していこうではないか。
3日前、午後7時45分ごろの話である。
私は機嫌よく君の悪いジャンルの小説を聴きながら、
可愛らしい花たちの手入れをしていた。
窓枠の私から見て右端から
白いシクラメンの小鉢、手のひらに乗るサイズ
黄色いマーガレットのような名前がよくわからない植物の鉢、そこの皿が15cmほどのが危ういほど狭苦しそうに一つ
その左にオレンジのパンジーが植った全く同じ鉢に一つ、窓の関係でここから窓枠の奥行きが広いため安定して並んでいる。
その左に長い付き合いのブーゲンビリア、さらに左に異様にでかいポインセチアの鉢。
と、前置きが長いがここからが本題である。
小説の中では怪しげな占い師が金をつっかけているシーンで、
「私の生き霊があなたに取り憑いているのでなんでもいいから金を払って除霊させろ」など言っている。
意味わからんが、現実の私は先終わった名前のわからぬ花の処理をしていた。
ぷつんと花がら摘みをして、水をやりいい気分であったのだが、
その瞬間悪夢が始まる、無論現実だ。
作業が終わり一歩後ろに下がり風呂に入るため、
すぐ右手にあった階段に足を伸ばそうとした。
ごとん、と音がして、鉢が落ちた。
脳内で(あっ!!)と叫んだが、身体はやや遅く、
直後、ごとんごとんごとん、が5、6回そしてしんと、静まり返る。
濃厚な土の香り、足元のざらざら感。
取り返しもつかぬほどの大惨事である。
聞いていたはずの小説の作者さんに
「あなたの本を読んでいたら鉢植えが落ちてビビりましたよ」と自慢してやろうかなと
意味のわからない現実逃避の後、うわーーーと頭を抱える。
「やっちまった感」の波に15秒ほど耐える。
とにかく家族にバレては怒られることは確実
そして現在、家には私1人。
親たちが仕事やらから帰ってくるまでに、何事もなかったかのように片付けることが理想である。
いや、絶対にそうでなければならない。
私は趣味も気色も悪い小説を流したまま、
というかbgmにして掃除に取り掛かった。
うちの階段がまた曲者で、
小さい頃の私が階段の下から段差途中に頭を出すという遊びができるような形であった。
つまり、土が全部階段の下までどろどろ汚していく形である、最悪である。
とにかく下まで汚れた階段を、自分を汚しながら降りる。
パンきじを切り分ける時に使うカードみたいなのと700mlは入る使ってなさそうな入れ物を装備して、
階段の1だん目からこんもりと乗っかっている土を集め始める。
水やり直後なのがさらに拍車をかけている
下から順番にかき集めてしばらくすると
段差の途中で鉢に植えてあった苗と遭遇する。
不幸中の幸いかそれは折れることもつぶれることもなく綺麗であった。
なんとなく残念に思えた。
それを回収し、とにかく上まででかい塊をかき集めて、
細かい土埃をどうにかしようと掃除機やら雑巾やらを持ち出して
今度は上から降りるように掃除する、基本であるが…
めっちゃ自分が落ちそうである。
植木鉢の次は人間が落ちるとか洒落にならんやろ?と冷やけているところで、
なんと人の気配がするではないか。
しかも、私が土を払って移動させた、階段の下にあった洗い立ての叔父の毛布に、つまずいたような間抜けな声がする。
階段の上から4だん目あたりでオロオロと何もできずにいる私が、
スポットライトに当てられたみたいに、あらわにされてしまう。
暗闇であってもヤバそうな状態だと分かるのに、
普通に見ても目を開けられないような惨状が広がる。
「あーあ」
その一言だけで十分である。
それからすぐに、手際よく綺麗に掃除されてしまった。
私の理想だったように何事もなかったかのように…
私の理想と反対に母親の手によって…
私は何事もなかったかのように本来の目的である風呂に入り、
夜中の1時半ごろせっせと鉢に苗を植え直すのであった。
ではでは、落ちる鉢植えにご注意を。
次はあなたが被害者かもしれない。
なんの?