年来の夢が叶った。
「築地明石町」。
鏑木清方(かぶらききよかた)の最高傑作にして我が国近代美人画の金字塔。
44年ぶり、佳人に再会しましたよ、あぁた。
どれほどこの日を待ち望んだことか。
竹橋の国立近代美術館3階所蔵品ギャラリー第10室。
3階に向かうエレベータの中で私の胸はときめいておりました。
会場には館蔵品の「鰯」や「三遊亭円朝像」が並んでいますがチラと観ただけでまっつぐ「築地明石町」に向かいます。
おうおう、居らっしゃいましたよ。
よくぞご無事で。
江戸小紋の着物に抱き柏の紋が入った黒い羽織。
素足に下駄の楚々とした麗人は44年前と変わらずわずかに右手を振り返っています。
透き通るような肌。
面長で、漆黒の髪、柳の眉に切れ長の目、鼻筋とおり、小さく赤い唇。
相変わらず美しい。
容色は衰えていない(アタリマエだけど)。
私が初めて彼女を観たとき彼女は年上の女性だった。
いま、彼女ははるかに年下だ。
画のなかの女性は歳をとらない。
また逢いに来よう。
みなさま。
「鏑木清方 幻の《築地明石町》特別公開」展は12月15日まで開催されています。
「幻の麗人」に逢いにゆきませんか。