前回投稿の続きです。

⚪術後2日目、心臓の状態が落ち着いたので最初の抜管を試みました。
しかし、喘鳴やチアノーゼが出て呼吸困難になり、その場で挿管されました。

耳鼻科の立ち会いのもとで声帯をファイバーして貰うと、両側反回神経麻痺と診断されました。

反回神経 は、声帯の動きを支配する神経で、心臓手術の操作部位の近くにあります。
手術時に、神経が押されたり引っ張られたりするため、術後の合併症の一つとして声帯麻痺が起こり得るようです。
このときは、声帯麻痺についてそれほど深刻に考えていませんでした。


⚪術後7日目、週明けに容態が落ち着いたところで、もう一度、抜管トライすることになりました。
どうにか出来ましたが、本人も苦しそうで、呼吸状態もギリギリでした。


その後、循環器科の主治医から改めてお話がありました。

心機能については問題ない。
だが、やはり反回神経麻痺による呼吸障害が問題になっていると。

声帯は左右の弁があり、呼吸時に開き、嚥下時は閉じて気管に流れないようになっています。
息子の声帯は、半開半閉の状態で麻痺をしていました。
つまり、呼吸をするには苦しく、痰や唾液などの分泌物が気管に流れやすい状態。
実際、唾液や痰の持続吸引をしているが、無気肺が進んでいると言われました。

片側の麻痺であれば、もう片方でカバーができるし、数ヶ月で治ることが多いそうです。

しかし両側の場合、問題となるのは重度の呼吸障害でした。
極めつけには、小児の両側反回神経麻痺は殆ど症例が無いと言われました。
麻痺は、半年から一年経っても治らなければ、完治は難しいだろうと言われました。

では、挿管させたまま、麻痺の回復を待ちながら人工呼吸器でカバーするのか?

それは現実的ではないことは、素人の私でもわかりました。
せっかく心臓手術をしたのに、肺機能を悪くしたら、今後の心臓手術の選択肢が無くなる懸念もありました。

このとき、気管切開をはじめてドクターから提示されました。



⚪ICU側は、現状維持に努めて下さっていました。
しかし、息子が苦しそうにしていたり、今後の手術の選択肢が狭まるのであれば、気管切開をするしかないと、思いました。

このとき、気管切開が絶望だとは考えませんでした。
医療現場では、救命が最優先されるのも理解しています。
しかし、頭では理解しても、心が付いて行きませんでした。

なんで息子が?
せっかく心臓手術は上手くいったのに…
この子の将来はどうなるの?

経管栄養 が必要なこと。
もう口からおっぱいを飲めないこと。
気管切開後には吸引などの準医療行為が伴うこと。
それは医療従事者、または親族しかできないこと。
心疾患に加えて、在宅医療ケア児 となること。
保育園入園が厳しいことは考えていましたが、それがより難しくなること。
就学や就労のこと。
私の育児休暇のこと。

これらのことが次々と頭に浮かび、今後の将来に向けての不安が押し寄せて来ました。

自分で息をすること。
ミルクを飲むこと。
生後3ヶ月まで、当たり前に出来ていたことが、急に出来なくなったことへの深い悲しみや悔しさ。

情けないことに、この日から、私はほぼ毎日泣いていました。



⚪術後10日目の深夜、また呼吸状態が悪くなり、再び挿管するとICUから連絡がありました。
「次に挿管したとき、気管切開の選択がより近づくことになるでしょう」と言われたのを思い出しましたが、不思議と涙は出ませんでした。

息子の苦しみが、挿管によって少しでも緩和されるのであれば、それで良いと思いました。


長くなるので、続きます。
(まだ続く😅💦)




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