フーガ・ノックアウトっていう
面白い名前がついてたダリア。
フーガってなんだったっけ。
クラシックの達人に花屋からメールしてみた。
同じメロディがあとからあとから追いかけてくるようなやつだよ。
返事がきたときダリアはもう助手席に座っていた。
その足で本屋に向かって
夏の旅に必要な情報を探してみたけど
ないよ。
あたしがいくら呑気とはいえ
どんなもんかちょっとくらい知りたかったのだ。
ない。
ないよ。
ないものはない。
ないならしょうがない。
そんじゃまあいいや。
''ない'' を捨て身の五段活用させつつも
本棚の端から端までを目で追いかけながら
そろそろ帰ろうかなーと思ったところで目に留まった背表紙。
埃かぶった一冊との完璧な出会いに飛びついた。
まだちょっとぼやけていた旅の輪郭がだいぶはっきり。
新しいことをしようと思うとき迷いや躊躇いはつきものだけど
そのしようと思ってることが間違っていないときには必ず
誰かが、何かが、現れてだいじょぶだからやりなさいと
背中を押してくれるような出来事が連発するのよね。
不思議なんだけど
物事が突然すいっと流れるときはいつもそうだ。
こうなってくるとあたしはものすごく強い。
こりゃ幸先いいぞ。
うちに帰ってから
フーガを辞書で調べたら遁走曲って書いてあった。
遁走ってこんな感じかしら。
アラほらサッサー ![]()


