「膣活」と言う言葉を聞いたことがありますか、膣ケア、フェムケアなどとも呼ばれていますね。
総じてセルフケアやアンチエイジング治療などによって、膣をよりよい状態に保つことが「膣活」です。
なかなか「膣」のことを話すことは、その場所や特性からもはばかられるとは思いますが、最近ではフェムケアやフェムテック、更年期障害などの概念が広まるにつれて、膣に関連する話題が多く提唱され、膣のケアをする女性が増えています。
そもそも膣ってすごく大切なところですよね。膣は女性の骨盤内にある女性特有の臓器で、子宮、膀胱、直腸などの臓器を支えている骨盤底筋群に覆われています。膣がないと人は生まれてきませんし、女性の生理、女性の人生に大きく関わるとっても大切な臓器なんです。
さて、今日は膣活とは、一体どのようなものなのかを解説していきます。
膣活とは
膣活とは、膣を覆っている筋肉を鍛えたり、膣をケアすることによって、膣をよりよい状態に保つことです。
気軽に行えるセルフケアから、美容クリニックや産婦人科などで受けられる膣のアンチエイジング治療もあります。
膣が老化する原因

普段気にすることは少ないですが、肌にシミやシワ、たるみなどができるように、膣も少しずつ老化しています。
膣が衰える主な原因は、女性ホルモンであるエストロゲンの低下です。子宮、卵巣、腟といった女性器は女性ホルモンの一種であるエストロゲンの作用を強く受けている器官です。
エストロゲンの分泌量が低下すると、膣壁のコラーゲンも減少し、弾力やうるおいが失われ、腟内環境に変化が生じてきます。
顔にシミやしわが現れてくるように、腟も老化してしまうのです。
そうすると膣が萎縮し、おりものの量も減少し、様々な不快な症状が現れます。
また、骨盤底筋(群)の衰えも、膣がゆるんで衰える原因の一つです。
骨盤底筋とは、骨盤の底の部分にあり、膀胱や直腸、子宮、膣などの臓器を下から支える筋肉群のことです。排泄もコントロールしています。
この骨盤底筋が衰えていく理由として主に以下の理由があります。
構造上の特徴
女性は骨盤が広く骨盤底筋の面積が広い上、尿道・膣・肛門と3つの穴があります。便秘でいきむと、骨盤底筋にダメージをあたえます。
妊娠や出産
重くなる子宮や出産時のいきみによって骨盤底筋は強い影響をうけます。なんと出産時には骨盤底筋は通常の約3倍伸ばされると言われています。
女性ホルモンの低下
加齢とともに女性ホルモンが減少し、それにより筋肉量が減少して、骨盤底筋の弾力性の低下をまねきます。
膣活による効果

様々な膣トレや膣ケアがありますがこれらによって、膣をよりよい状態に保ちます。膣をよい状態に保つことで、女性特有の不調の改善や意外な健康問題の改善につながります。結果的に身体全体の調子が良くなったりもします。
膣周りの不快な症状を改善できる
女性ホルモンが低下すると、膣や外陰部が乾燥し、かゆみや灼熱感、痛み、性交時痛などの不快な症状を感じる女性が増えてきます。45〜55歳頃に更年期に突入すると、エストロゲンの分泌が激減して膣周りのトラブルが起きやすくなります。
しかし、積極的に膣活を行うことで、これらの不快な症状を予防・改善できる可能性があります。
腸の調子がよくなる

腸に「腸内フローラ」があるように、女性の腟には「腟内フローラ」があります。実は腸内フローラの状態は腟内にも影響を与えることがわかってきました。
実は女性の腟にも常在菌がいて「腟内フローラ」を作っているのです。
以前より腸内や膣内には様々な菌が住み着いていると考えられていましたが、最近ではとても細かい細菌の種類やその数や分布までわかるようになりました。この菌の数は人間の細胞の数よりも多く、私たちが思っている以上に人間の体に対して重要な役割(体の免疫や健康を維持すること)を担っていることがわかってきました。このことについてはこちらの記事でも解説していますのでご覧ください。
膣内フローラに関する研究は日々進んでおり、まだわかっていないことも多いですが、膣にいる膣内フローラの研究やそれに関連する治療は、現在、今一番注目されている分野と言えるでしょう。とくに女性の体でもっとも重要な菌は乳酸菌であり、その中でもラクトバチルス・クスパタス菌と言われています。
ラクトバチルスは善玉菌の乳酸菌です。これらは乳酸を産生することで腟内を酸性にし、清潔な環境に保つ働きがあります。
腟内フローラの状態が良い(善玉菌が優位である)と、着床率や妊娠率に良い影響を与えることもわかってきました。
では、この腟内フローラ、どうしたらよい状態を保てるのでしょう?
実は腸の状態が腟内の細菌にも影響を与えるのです!
私の父は産婦人科医なのですが、当時、妊娠したいことを伝えるとずっと「乳酸菌をちゃんととって、サプリも飲みなさい」とよく言っていました。
当時はこれを聞いて、「とりあえず腸内環境をよくすればからだにも良いし、全身的にも調子が良くなるから妊娠しやすくなるということなのかな?」と思っていました。
そのときは腸内環境が「膣の環境」にも影響を与えるとは思ってませんでした。
腸の出口と、腟の入口は隣り合っています。常在菌が行き来することができる構造になっています。
普段から健康的な腸内フローラを保っていると、善玉菌が腟にも移り、腟内フローラの状態も良くしてくれるのです。
逆に腸内環境が悪いと、膣内環境にも悪影響が出てしまうということになります。
ゆえに、膣活で膣内フローラを整えれば、自然と腸内環境も改善されて腸の調子がよくなるというわけです。
膣内はデーデルライン桿菌という菌によって酸性(pH4.5以下)に保たれ、それによって自浄作用が働いて悪玉菌の増殖を防ぎ、膣内環境を正常に保っています。酸性が保たれない状態になるとカンジダや細菌性膣炎を引き起こしてしまいます。
細菌性腟炎とは、腟内の乳酸菌が減少し、他の様々な菌が異常増殖した状態です。腟内の細菌のバランスが崩れた状態とも表現出来ます。乳酸菌が減る原因としては、腸内環境の悪化、性交渉、腟の洗いすぎ、ストレスなどがありますが、原因不明のことも多くあります。
細菌性膣炎やカンジダは膣内の環境が正常であればかかりにくいため、膣活で膣内環境を整えていれば、発症する可能性を低くできます。
尿漏れや子宮脱を予防

前記の通り、骨盤底筋は排泄をコントロールしている筋肉です。
骨盤底筋は、出産でダメージを受けたり年齢を重ねたりすることで衰えてしまうため、早いうちから膣活をして筋力を維持することで尿漏れを予防できます。
子宮脱とは、骨盤底の筋肉や靭帯が弱まり、子宮が正常な位置から下垂して膣外に脱出する状態ですが、これも予防することにもつながります。
年齢とともに骨盤底筋の筋力が低下すると、外陰部や膣の筋肉も衰えてしまいますが、膣活を行うことで、膣壁のコラーゲンが生成され、膣壁が厚くなることで、膣内の潤いを保ちやすくするため、膣の乾燥感を軽減させ、弾力のある引き締まった健康な状態になります。膣が引き締まると自分自身の感度が向上し、パートナーの満足度も高まるため全体的な満足感を高めることが可能になります。
まとめ
膣活について解説いたしましたが、いかがでしたか?膣活は毎日の積み重ねが重要です。膣トレなどは継続しなければならないため、すぐの効果は期待できません。継続することで自身のQOLが向上するので、なるべく生活に取り入れていきましょう。
また次回以降で、膣活の具体的な方法について解説していきます
