アンチエイジングに大切なサーチュイン遺伝子とは? | 関根彩子 ~再生医療・美容医療の教科書~

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誰もが歳を重ね、『老化』によって様々な変化が現れるもの...そう諦めていた方も少なくないと思います。しかし、サーチュイン遺伝子(Sirtuin)の発見により、老化を制御できる可能性があるのです。今回は、サーチュイン遺伝子(Sirtuin)についてお話します。

サーチュイン遺伝子(Sirtuin)とは

サーチュイン遺伝子(Sirtuin)とは、老化や寿命の制御に重要な役割を果たすとされる遺伝子で、「長寿遺伝子」とも呼ばれています。サーチュイン遺伝子は、もともと酵母や線虫の老化を抑制する遺伝子(Sir2)として発見され、今では細菌から哺乳類まで、多くの生き物に備わっていることがわかっています。サーチュイン遺伝子が活性化されると遺伝子を制御し、病気や老化を予防し、寿命を伸ばすといった機能を発揮します。このサーチュインの活性化にはNAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)という物質が燃料として必要です。しかし、加齢とともにNAD+が減少するため、サーチュインの活性化が衰えてしまい、老化のスピードが速まってしまうと考えられます。そこでサーチュイン遺伝子を活性化するためには前回のコラムでもお話したNAD+の前駆体であるNMNを補充することが有効です。

サーチュイン遺伝子を活性化するには?

 

 

『NMNを補充する以外に他に長寿遺伝子を活性化する方法はありませんか?』と聞かれることがあります。NMNの補充には、点滴による投与が最も効率的ですが、サーチュイン遺伝子を活性するために日常の生活で心がけると良いいくつかの方法がありますので、それについてお話します。

 

①食事

NMNは普段の食事からも摂取することはできますが、食べ物に含まれるNMNの量は微量であるため、NMNの1日の摂取量の目安である250mgを補う食材の量を換算すると下記のようになります。

 

枝豆47500粒

ブロッコリー140房

アボカド315個

マッシュルーム6250個

 

上記は、NMNを含む食材の一例ですが、どの食材も有効なNMNの量を摂取しようとすれば、かなりの量を食べる必要があり、食事から摂取するというのは現実的ではないかもしれません。

 

②カロリー制限

 

昔からよく「ご飯を食べるときは八分目」と言われていますね。この言葉は理にかなっていて、適性カロリーの70%程度にカロリーを抑えるとサーチュイン遺伝子の活性化につながるといわれ、動物実験では、エサを好きなだけ食べた時の平均寿命とカロリー制限をしたときの平均寿命を比べると1.4~1.9倍、長生きしたという報告があります。ただし、サーチュイン遺伝子がしっかりと活性化されるには、カロリーを制限した食生活を毎日続けることが必要となるようです。

 

③レスベラトロール

 

レスベラトロールとは、サンタベリーやブドウ、ピーナッツの渋皮などに含まれているポリフェノールの一種です。

赤ワインに含まれるポリフェノールには抗酸化作用や脂肪燃焼の促進、血流改善などの効果があり、健康をサポートすることが分かっています。ポリフェノールの中でもレスベラトロールは、サーチュイン遺伝子の発現を増やす“若返りと長寿の成分”と言われます。ただし、レスベラトロールによって増えたサーチュインが活性化するにはNAD+が必要です。

ご説明した方法は、どれも単独では、サーチュイン遺伝子を増やすことは難しいため、心がけながら、NMNは点滴やサプリメントで補充を行うことが効率が良い方法と言えます。

 

次のコラムではNMNの内服と点滴について詳しくお話させていただきますね。