【アトピー発症機序理論発見の経緯】先生はどうしてアトピーをそんなに治せる病気だと思えたのですか? | 皮膚科医 山本綾子 の アトピー から学ぶ美肌法則

皮膚科医 山本綾子 の アトピー から学ぶ美肌法則

山本ファミリア皮膚科 駒沢公園の院長、山本綾子の美肌法則ブログ。つきあう病気とされてきたアトピー を根治させようと奮闘して見つけた、身体から健康になる美肌法則。

こんにちは、

目黒区東が丘 『山本ファミリア皮膚科 駒沢公園』

院長の 山本綾子です。

 

***【山本綾子の診察をご希望の方へ】***

診察を受ける際の、大切な注意点が書かれています。

貴重な診察時間を無駄にしないために、一読をお願いします。

 

運動療法スタジオセッション(水・土曜日完全予約制)

ご希望の方は、お早めにご予約をお願いします。

本年のセッションは終了しており、来年は1月5日(土)からです。

https://ameblo.jp/ayakoder/entry-12416124634.html

 

今日は、

私と一緒に

クリニックで運動療法を教えてくれているスタッフさんからの

こんな素朴な疑問について。

 

「山本先生、

どうして先生は、ほかの皮膚科の先生みたいに、

”アトピーだから完全には治らない”と諦めなかったのですか?」

こんなことを言われました。

 

確かに。

偉い先生も、皮膚科の教科書も、

皮膚科学会の今のところの認識も、

「アトピーはつきあう病気」です。

誰も、「完治する病気」とは捉えていません。

 

普通に、教えられてきたことに従うならば、

ステロイドで抑えきれない湿疹があったとしても、

「これは重症のアトピーだからしょうがない」と

なるのでしょう。

 

でも、私は幸いなことに、

徹底した研修医期の先輩医師のご指導とたくさんの経験のおかげで、

「このくらいの症状の湿疹には、

この強さのステロイドを正しく塗れば

何日くらいで治まる」

というのが、正確にわかります。

 

逆に、

これだけの症状にぴったりの強さのステロイドを処方したのに、

予測した治りにならなかったとき、

「なぜ、予測通りに治らなかったか」

という原因探しを必ずします。

 

ステロイドが怖くて必要量を塗らなかったのか。

忙しくて塗る回数が少なかったのか。

1回で塗る量が少なすぎたのか。

それとも、きちんと塗っていても治りが悪いのか。

 

十分に経験を積んでくると、

「ステロイドをしっかり塗っても治らない」のか

「実はステロイドをしっかり塗れていないから治らない」のかが

見分けられるようになります。

 

極端な話、

患者さんが口では塗ったと言っても、

皮膚を見れば、本当は十分量塗ったか塗らなかったかが

見抜くことができます!

(本人さんより皮膚のほうが正直なのです!)

 

ここまで、ステロイドを使いこなせるようになると、

たいていの湿疹は、

ステロイドだけでもかなりキレイに治ります。

 

だからこそ、

徹底したステロイドの使い方指導をしても治らないとき、

「あれ、おかしいな」と

なるのです。

 

しかも、治りの悪い湿疹の「部位」がいつも同じで、

他の患者さんでも同じ傾向があれば、

「何か湿疹が湧いて出てくるには法則がありそうだな」

気付くものです。

 

そして、

私には、皮膚科医人生を決定づけるような

ある患者さんとの出会いがありました。

 

「アトピーに振り回されては生きていけないので、

何とかしてアトピーを完治させてください!」

こう、私に頼み込んできたある患者さんがいました。

私は、大学の偉い教授先生でもないし、

まだ、その頃は皮膚科医として10年くらいしか経験ない頃。

 

最初は「無理だよ、私には」、と言っていたのですが、

あまりの患者さんの熱意に、

「何年かかるかわからないけど、やってみようか」と

研究を始めました。

 

そうは言っても、

偉い先生すら見つけていないアトピーの完治への道を

探すのは簡単なことではありません。

 

解剖学の本とにらめっこの日々が続きました。

寝ても覚めてもアトピーのことばかり

考えていました。

 

しかも、その患者さんは、

治らないアトピーに、何度も何度も

「もう生きてゆく希望がもてない」と私に伝えてきました。

 

主治医としては、

患者さんからそのようなことを言われてしまったら、

何としても生きてもらうために、

アトピー完治の方法を見つけるしかなかったのです。

私も生きた心地のしない日々が続きました。

 

そんな切羽詰った状態だったからこそ、

「アトピーは治らない病気だよ」

なんて言っていられない状況だったのです。

もう、文字通り

死に物狂いで「アトピーを治す術」を探すしかなかったのです。

 

そんな、

汗と涙のつまった努力の結晶とも言えるのが、

「アトピー発症機序理論」なのです。

 

あの時、

「私には、アトピーを完治させる力はないから」と

諦めていたら見つけられなかった、

「アトピー発症機序理論」。

そして、私の発見に、

快く「試してみるよ」と言ってくださった、たくさんの患者さんの

「実験」に裏打ちされて、出来上がった「運動療法」。

机上の空論などではなく、

しっかりと臨床に裏打ちされてできたものなのです。