【アトピーの戦略的治し方】「テントの法則」を応用して、運動療法を組み立てる(赤ちゃんの運動療法) | 皮膚科医 山本綾子 の アトピー から学ぶ美肌法則

皮膚科医 山本綾子 の アトピー から学ぶ美肌法則

山本ファミリア皮膚科 駒沢公園の院長、山本綾子の美肌法則ブログ。つきあう病気とされてきたアトピー を根治させようと奮闘して見つけた、身体から健康になる美肌法則。

こんにちは、

目黒区東が丘 『山本ファミリア皮膚科 駒沢公園』

院長の山本綾子です。

 

今日は、

当院に、12年の脱ステをついにやめて、

「脱・脱ステ」を決心して受診してくださった方が

いらっしゃいました。

 

秋が深まって寒くなってきてから、

とくに「脱・脱ステ」の方が増えています。

 

皆さん、「嫌だったステロイドを再開するのだったら、

絶対、山本先生のもとで」と

言ってくださいます。

 

ただ単にステロイドを使うのではなく、

しっかりと「卒ステへの作戦」を持っているからと。

 

そうなのです。

単にステロイドを使うだけでは、所詮、対処療法でしかありません。

「いかに湿疹の湧いてこない身体を作るか」

が大切なのです。

 

さて、その、

湿疹の湧いてこない身体作りに、

中心的役割を担う、「運動療法」。

 

昨日お話した、

「テントの法則」を応用すると、

こんな運動もするのだとわかってきます。

 

「テントの法則」は、

バランスを保っている2つのラインは、

「バランスを崩してはならない」ということ。

 

つまり、

身体の前側の湿疹を治したいならば、

身体の後ろ側を伸ばすことによって、

前後のバランスを保つ、

ということ。

前側が縮みすぎて湿疹ができているのならば、

身体の後ろ側を伸ばさないと、治らないよ、

ということ。

 

例を挙げてみましょう。

今日、受診した、もうすぐ3ヶ月の赤ちゃん。

最初に受診したときは、生後1ヶ月。

真っ赤な顔で、顔全体から浸出液が出ていました。

 

勿論、こんな感じに

首の隙間がなかったので、

だっこの仕方を説明して、

顔の湿疹はきれいになりました。

 

山本綾子の運動療法は、

「湿疹がキレイになった後からが本番」!

 

湿疹が出ていないからこそ、

「今後、湿疹が湧いてこないような身体作り」

をしてゆきます。

 

これは、

大人も赤ちゃんも同じ。

 

キレイになってしまうと、

通院するのが面倒になるのですが、

湿疹が一回ステロイドで消えた、で終わっては

また再発させてしまうだけ。

 

ここからが肝心なのです。

 

さきほどの赤ちゃんの場合は、

そろそろ生後3ヶ月ということで、

腹ばいの練習をさせようとしたのですが・・・・

 

ベッドに腹ばいにさせても、

ほとんど首が上がりません。

普通、生後3ヶ月にもなると、

ぐっと首を持ち上げてくれるものですが、

1センチもあがらない状況。

 

この時、

皆さんはどう考えますか?

 

「ちょっと、発達が遅めなだけ」

と放置していては、いけないのです。

 

私は、この時、

「背中が硬いから、首が持ち上がらない」のではないか?

と考えました。

 

 

(出典;ウィキメディア・コモンズ)

 

身体の前後でバランスを保つためには、

「テントの法則」からわかるように、

アシカのように、きれいに首を反らせるためには、

背中側が十分に柔らかくないとできません。

 

ということで、

早速、赤ちゃんを縦に抱っこして、ぐっと腰を反らせてみてから、

再度、赤ちゃんをベッドに腹ばいにしました。

 

すると!!!

直前まで全く首が持ち上がらなかった赤ちゃんが、

約10センチ近くも首を持ち上げて、

しっかりとママを見つめるではありませんか!

 

これには、赤ちゃんのママもびっくり。

どんなに家で腹ばいの練習をさせても、

全く首が上がらなかったのに、

ちょっと、私が抱っこしただけで、

上手に首が上がるようになったのですから。

嬉しそうに、パパにも見せてあげるのだと

スマホで、赤ちゃんが上手に首を持ち上げた様子を

撮影していましたよ(^^)

 

この話からわかるのは、

身体の前の湿疹を治そうとするとき、

勿論、身体の前を伸ばそうとするのも大切ですが、

それだけで上手くいかないときは、

身体の後ろ側からのアプローチが必要だということ。

 

とにかく、運動療法を効かせるには、

「いかに解剖学・力学を利用して、

湿疹のある部位の筋肉の負担を減らすか」

に着目する必要があります。

ただ、その湿疹のある部位だけを見ていては不十分なのですね。

 

◆◆◆赤ちゃんの運動療法については◆◆◆

日経トレンディネット

「抱っこの仕方でアトピー悪化!?

赤ちゃん・子供の治療と予防【アトピー発症機序理論9】

https://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20140801/1059365/

をまず、お読みくださいね。