【アトピーの戦略的治し方】アトピーの浸出液は排毒ではありません!出せば治る訳ではありません! | 皮膚科医 山本綾子 の アトピー から学ぶ美肌法則

皮膚科医 山本綾子 の アトピー から学ぶ美肌法則

山本ファミリア皮膚科 駒沢公園の院長、山本綾子の美肌法則ブログ。つきあう病気とされてきたアトピー を根治させようと奮闘して見つけた、身体から健康になる美肌法則。

こんにちは、

目黒区東が丘 『山本ファミリア皮膚科 駒沢公園』

院長の山本綾子です。

 

昨日は、運動療法の基本の考え方、

「回すべきものは回す」についてお話しました。

東洋医学にも通じる考え方でしたね。

 

(引用:毛細血管のしくみ、看護roo!より

https://www.kango-roo.com/sn/k/view/1586

せっかく、この図のお話をしたので、

今日は、脱ステでよく使われる「排毒」という言葉について

お話したいと思います。

 

「ステロイドを使わずに、どんどん浸出液を出してあげれば、排毒になります」!????

 

よく、こんな言い方を、脱ステの方はします。

しかし、本当に、浸出液を出すことが「排毒」なのでしょうか?

それならば、脱ステを続ければ続けるほど、見た目にも健康的に

なってゆきそうですが、脱ステを10年、20年とやっている方は、

「いかにも不健康そう」で「しなやかさがない」印象があります。

 

おかしいですよね?

毒を出しているならば、どんどん健康的で、つやつやになって行きそうですが。。。。

 

では、湿疹の酷いときの浸出液は、どういう意味なのでしょうか?

 

ここで役に立つのが、上の図です。

皮膚の細胞の周りの”水”が渋滞してしまって、

間質液の圧力が高くなりすぎた時を

イメージしてください。

 

溜まった”水”は、どんどん皮膚を押し上げます。(これがむくみ)

そして、これが酷くなりすぎたら、「水疱」(=水ぶくれ)

それでもどうしようもないくらい圧力が上がりすぎてしまったら、

水疱が破れて浸出液になる。

 

だから、脱ステでひたすら掻いていると、

「穴」があいて、浸出液が出て、中の圧力が下がる

⇒一時的に、圧力が下がって改善する

(一時的に圧力が下がっても、特にほかに圧力を下げることを

していなければ、また、圧力が上がってしまい、脱ステで泥沼化しますよね)

 

これが脱ステで改善すると「勘違い」されている現象の実態です。

 

また、患者さんから「瀉血(しゃけつ)」で改善したという話を

聞いたことが何度かあります。

これは、上の図から考えると、間質液の圧力を下げる施術だったから、

改善したのでしょう。(ただし、血を捨てるため、貧血になってしまうのが問題です)

 

私からすれば、

わざわざ「引っ掻いて穴をあけたり」「血を捨てたり」せずとも、

「毛細血管→リンパ管」の流れは改善できるので、

もっと上手にアトピー卒業への作戦を立てればいいのにな、

と思います。

 

どうやって?

それこそが、「アトピー発症機序理論」に沿って行う、運動療法です。