こんにちは、
目黒区東が丘 『山本ファミリア皮膚科 駒沢公園』
院長の山本綾子です。
問題の、
「なぜ皮膚科に行ってもアトピーは治らないのか?」
についての、アトピー撲滅を目指す、皮膚科医である私の
意見を、述べてみたいと思います。
私の意見に対して、皆さん、いろいろ感じるかと思います。
賛成、反対ともに、ご意見があれば、どうぞ、リブログして
ご自身の考えを書いてみてください。
皆でこの大きな問題について考えてゆけば、日本のアトピー治療も
もう少しいい方向に変わってゆくかもしれません。
前置きはさておき、
まず、一番の原因は、
「皮膚科医がアトピーを治る病気だと思っていない」
ことが大きいのではないかと、私は考えています。
というのも、皮膚科の教科書にすら、
「アトピーは寛解・増悪を繰り返す疾患」として、
「つきあう病気」という書き方がされているのです。
そりゃ、日本全国の先生が、普段の診療で、「完治を目指そう」
とする訳がありません。だから、「ステロイドで症状が軽くなれば
OK」程度の診察になるのも仕方ないのかもしれません。
逆に、教科書に「アトピーは完治する病気です」と書いていてくれたら、
皮膚科医は、治せないと恥と、それはそれは真剣になんとか治そうとするに違いありません。だって、「ヤブ医者」と言われたくないから。
だから、私は、「アトピーは治る病気」であることを、多くの患者さんに
証明してもらって、いつか皮膚科の教科書を書き換えさせたいのです。「アトピーは、治すには時間も根気も必要だが、きちんと治る病気である」と記載させたいのです。
もう一つ、「アトピーを真剣に診察したって儲からない」という金銭的理由があるのではないかと思っています。
2年ほど、忙しくてほとんどブログを書けず、久しぶりに戻ってきて、
アメブロの「病院ジャンル」を見たとき、びっくりしました。
ごくごくまれに、他の科のクリニックが入っていたりしますが、ほとんど全てと言っても過言ではないほど、「美容皮膚科」ばかり。これは何を意味するか。
もう、皆さんには、すぐお分かりになると思います。
逆に言えば、アトピーのように、どんなに多くの患者さんが苦しんでいても、「治る病気と思われていなくて、儲からない」ものに、人生をかけて何とか根治させたいと考える医師は、ごくごく稀であるということ。
(非常に稀ではありますが、ときどき、そのような先生がいらっしゃったという話を耳にすることがあります。そのような先生に出会えた患者さんは、本当に幸運だと思います。)
日本の保険医療制度は、
どんなに時間を割いて生活指導をしても、
クリニックは得をしません。時間をかければかけるほど損になります。
(つまりは、医療保険制度にも問題があるのだと思います)
そんな状態では、「全身の皮膚を診ず、ちらっと見て終わり」という
診察ばかりになってしまうのでしょうね。(実際、これまで何軒もの皮膚科を受診したけれど、こんなに全身の皮膚をしっかり診察してもらったことはない、と言われることが非常に多いのです!)
こんなことを書いてしまうと、「だから皮膚科医はダメなんだよ」と
言われてしまいそうですが、患者さん側にも、
大きな要因があると私は考えています。
「アトピーは医者が治すもの、薬が治してくれるもの」という
考えの方が多すぎる、ということ。
勿論、これは、それまでの医療がそういうスタンスだったからですが、
この考え方は、アトピーの根治を目指す皆さんには、捨ててほしいと
思います。
私は、アトピーは糖尿病のように「生活習慣病」の要素が多いと
考えています。
そして、アトピーは医師が治すものではなく、
「患者さん自身が主治医」となって治すものだと考えています。
医師は、患者さんが最短距離で治るように、
「道案内」する者であり、主人公は患者さん自身。
「薬」は利用するけれども、「治すのは、患者さん自身」。
いかに、患者さんの自然治癒力を高めてゆけるかが、
完治への近道。身体が治ろうとするのを邪魔しないように、
「邪魔する要素をできるだけ取り除く」のが、完治への近道。
そのような考えで、自主的に治療に通って下さる患者さんは
本当に治りが良いのです。
薬が治しているという感じではなく、「患者さんの内なる力が
治している」のが見えます。
そいういう方は、ステロイド漬けになることもありませんし、
きちんと「卒ステ」してゆき、アトピーから卒業してゆきます。
このブログを読んでくださっている皆さんには、
是非、アトピーに振り回されることなく、ステロイドに振り回されることなく、「自分が主体」となって、「心身の声」を聞きながら、
アトピーから卒業して頂きたいと、心から思っています。