あけましておめでとうございます。
今日は、私が提唱する「アトピー発症機序理論」がアトピーの湿疹を治すだけでなく、臨床の現場において、どれだけさまざまな可能性を秘めているか、という新年に相応しい、未来が明るくなるワクワクするようなお話です。
アトピー発症機序理論が完成したのは、2012年10月末でした。それまでバラバラに見えていた事実が一つの理論として全てつながり、発見した私ですら、「身体はこうも全てがつながっているのだ！」という事実に衝撃を受けたくらいです。
身体の部分部分において、湿疹の治し方はわかっていたものの、その各々の部位が実は関連をもっていたとは！
顔の湿疹が、実は全身の身体の使い方と深い関係にあったとは！
そりゃ、これまでのさまざまなアトピー治療がなかなか根治に導けなかったわけです。なぜって、その部分部分しか見ていないから。全身をまとめて見ていないから。
「アトピー発症機序理論」がわかってから、私の診療スタイルは180度と言っても過言でないくらい、激変しました。
今まで「ただの湿疹」「ただの皮膚症状」と思っていたものが、身体のあちらこちらの症状とつながっており、患者さんが自分から言い出さないような症状ですら、推測できるようになりました。「そう言えば、こんな症状もありませんか？」「そうなんです！」こんな会話が頻繁に起こるようになりました。
そして、それに伴って、「皮膚の症状」で受診したはずの患者さんの、実は根の深い全身の「困った症状」まで見抜けるようになり、それに対して運動療法や生活上のアドバイスができるようになってきました。
受診した患者さんは、「皮膚科でこんなことまで教えてもらったのは初めてです！」と誰もが驚いてゆきます。ですが、驚きとともに、表情は晴れ晴れとしています。なぜなら、今まで困っていた、皮膚以外の症状までも改善する方法を教えてもらったから。根治に至るまでに時間はかかるかもしれないけれど、どこの病院に行っても、「お薬を出されて、はいおしまい」というものを、「自分で治せる」と気づいたから！それも、お金もかけずに、物も使わず！
この「アトピー発症機序理論」を完全に理解することによって先日もこんなことがありました。
脂漏性皮膚炎の患者さん。よくよくお話を聞いてゆくと、皮膚症状だけでなく、過敏性腸炎（自律神経の乱れによる便秘・下痢を繰り返す病気）、不眠症、ひどい肩こりなども同じ時期からあることが判明しました。
顔や頭の皮膚症状に対してステロイドを処方しましたが、それだけでは根本的な治療とならず、必ず症状を繰り返すことが目に見えていたので、過敏性腸炎・不眠症・肩こりなどにも改善をもたらすであろう、運動療法をお話しました。
また、ニキビの患者さんにはこんなこともありました。
「ニキビの治療には試してみたことはないのだけれど、アトピーを治してしまう理論があって、ニキビもよく似た機序で起こっているはずだから、試してみない？」
徐々に、ニキビは軽くなり、それとともに肌そのものがきれいになってきました。そして、肌がきれいになるとともに肩こりなどの症状がなくなり、身体自体が軽くなったと教えてくれました。皮膚が健康になるだけでなく、身体も健康になってきたのですね！
以前、お話しました。
「心身が健康でなければ、皮膚が健康になる訳がない」ということ。
逆に言えば、「皮膚が健康になるとき、心身も健康になる」ということ。
この「アトピー発症機序理論」は、アトピーだけでなく、「心身が健康を保つためにどのようにできているか」という普遍的な健康原理を教えてくれていました。
これは、「アトピー発症機序理論」を見つけた際には、私自身も気づかなかったことでした。
ですが、アトピーを含め、たくさんの患者さんを診ているうちに、多くの慢性病というものが、非常によく似た原理で発症しているということがわかってきました。
そして、「アトピー発症機序理論」を理解した上で、それに従って身体のトラブルを改善させる努力をすることにより、皮膚が健康になるだけでなく、心身そのものが健康になる。当たり前と言われれば、あまりに当たり前のことですが、そんな可能性を秘めた理論こそが、この「アトピー発症機序理論」です。
非常に興味深いことですが、この「アトピー発症機序理論」を受診された患者さんに読んで頂くと、皆さん、「実感としてわかります！」とか「自分の身体で経験してきたこととまさに一致しています！」とか言われ、「信じられない」とか、「納得いかない」と言われることがありません。
アトピーで苦しんできた患者さんだからこそ、誰よりも（頭の硬い皮膚科医よりも）理解できる理論、それが私の提唱する「アトピー発症機序理論」です。