こんにちは。
私の外来にはたくさんのアトピー患者さんが通ってきてくださっているのですが、最近、患者さんの表情がずいぶん明るいものに変わってきたなあ、と実感します。
私がまだアトピーの発症機序を解明出来ていなかった頃、治療はもちろんステロイドだけであり、以前の病院とはくらべものにならないほど良くなったとは言え、やはり湿疹は湧いてくるし、どんなにステロイドの使い方をしっかり学んでもやはり心の底で「やっぱりステロイドは早めにやめたいなあ」という気持ちが、患者さんにも、医師である私にも拭えない気持ちとしてありました。
ですから、決してひどくはならないし、副作用が出ているわけでなくても、なんとなく、「いつまでこれが続くのか」という気持ちがありました。
しかし、アトピー発症機序が明確になってからは、たとえ湿疹が湧いてきても、「その湿疹に対してどんな対策をすればよいか」がはっきりしたので、私も患者さんも焦ることなく、落ち着いて「じゃあ、こんな運動をしよう」と思えるようになってきました。
この変化は、もともと「できるだけステロイドは使いたくない」という気持ちの強かった患者さんで特に顕著で、実際ステロイドを使っていても、以前のような不安感というものがほとんど感じられなくなっています。
人間というものは、先が見えないから不安になるのだろうと私は思います。
「このまま治療を続けていても治るのだろうか?」
この答えが見えないから、不安になるのだろうと思います。
でも、未来が明確に見えるならば?どのように治療してゆけばアトピーから卒業できるかが明確になったならば?
根治までの道筋を一本はっきりと示すことができるようになったという点で、アトピー発症機序の解明は大きな意味があったと思います。
時間はかかるかも知れない。でも、道はしっかりと根治にむけて出来上がっている。あとは、腐らず、焦らずに進むのみ。
このブログを読んでくださっているあなたにも、このことをしっかりと信じ、一歩一歩、自分なりのスピードで着実に前に進んでいただきたいと思います。
人とスピードを比べる必要は全くありません。
自分のスピードで。
ときに、前に進んでいることが実感できないことがあるかもしれません。
でも、きっとそれは「らせん階段」になっていて、上から見ると同じ場所のように感じても、ちゃんと進んでいるはず。
今、アトピーに苦しんでいるあなたへ。
私からも、心からのエールを送ります。
諦めないで。夢ではないのだから。