小学生の時、私は駐輪場に止めてた自転車が盗まれた。

自宅駅から4駅離れたところに大きな自転車屋さんがあり、友達とそこに買いに行く事にした。

本来なら配達して貰えばいいんだけど、節約していた母は、買ったら電話して。電車でお店行ってお母さんが乗って帰るからと。


なんか胸に詰まるものを感じながらも、自転車が欲しかった私は友達と買いに行った。
決めて、母に電話した。
母が来てくれた。

私と友達は電車で帰った。

その自転車やさんから、自宅駅までは、ひたすら一本道の国道だった。

電車からみえる国道。

電車にのり、しばらくしたら、国道を買ったばかりの私の自転車を必死でこいでいる、小さい体の母が見えた。

友達は、あ!おばちゃんや!と言って笑っていた。

でも、私の目からは涙が止まらなくなっていた。

自分を責めたし、母に申し訳なかったし、言葉に表せないなんとも言えない気持ちになった。

とにかく家に着くまで私は涙が止まらなかった。
そして玄関で、ただひたすら無事に母が帰ってきてくれるのを手を合わせて願った。


しばらくして、母は、息を切らしながら帰ってきた。
私はただ謝った。

母は、何故謝るのかわかってないそぶりをして、普通に接してくれた。

これは多分私が小学4年か5年の話し。

いまだに鮮明に覚えてる、小さい体の必死な母の姿。

この記憶は、永遠に消えない。

おかん。あの時はごめん。
私はちゃんと おかんに愛してもらってた。

おかん ごめん。

おかんが死ぬまでにあと何回会えるかわからない。
現時点で、去年ゴールデンウィークに、旅行に行ったっきり会えてない。

コロナ落ち着いたら会いに帰るから。

又おかんの髪かっこよくカットするから。

おかん ありがとう。
愛してる。