何十年振りかに気分が良い。
何て言うか、肩の力が抜けたような感じだ。
全然ダメだった自分に気付かず、夢見てた頃のような感じ。
今は全然ダメなまま、夢も無いまま、自分を赦してる。
いつものように、ネットサーフィンしてた。
いつものように、犬猫の画像や動画を流れて来るままに見ていた。
中にある一枚、猫の画像があった。
どんな画像かは詳細は覚えていない。
ただ、猫がデロンとだらしなく、猫らしく寝っ転がっていた。
私もずっとこんなだった。
なんなら、鬱になってからも、デロンとだらしなく寝っ転がっているしか出来なかった。
なのに、頭と心は激しく動いて、休みなく自分を責め立てていた。
だらしない自分がダメだダメだと、死にたくなる程鞭打っていて、それで余計自分が動け無くなり、苦しげに逃げ言葉を探していた。
でも、その画像で角膜から薄い曇りガラスが一枚剥がれ落ちた。
私はその猫と同じタイプの人間なのだ。
頑張って、立志伝中の人になるタイプでは無い。
デロンとだらしなく寝そべりながら、立志伝中の人になるのを夢見ているタイプなのだ。
思わず笑ってしまう。
これまでの数十年に及ぶ苦しみの無意味さを笑ってしまう。
これまで散々迷惑を掛けて来る事を笑ってしまう。
誰も私に立志伝中の人になれ等とは言っていなかったのに。
ただ、自分がそうなれない事を一人で苦しんで、周りを巻き込んで来た。
それも、もう良い。過ぎた事だ。
私はデロンとだらしなく寝っ転がって生きて行けば良いのだ。
それを叱る人にはすみませんと言おう。
それが一番幸せで平和なのだ。
私は私以外にはなれない。