「駄目だったんでしょう?
もう、青い星に帰るの?」
カズが尋ねると、
サトシは首を横に振る。
「いや。
じいちゃんや、みんなからなけなしのエネルギーを貰って、この帝国まで飛んで来たんだもん。
手ぶらで帰れないや。」
「じゃ、どうするの?」
「また、宮殿に押しかける。」
「…そんなことしたら。
殺されるよ?」
「近衛隊に?
うーん。
困るな、、、」
そう言いながら、サトシは全然困ったように見えない。
ああ。
彼はハナから命をかけているんだ。
カズは、サトシを見ながら理解した。
「今夜の宿は?」
「まだ、決めてないけども。
城外の人たちに泊めてもらうつもり。」
そう答えながら、サトシがマントの中から
小さな袋を取り出した。
「テラの花の種を持って来たんだ。
宿賃代わりになるかなぁって思う。」
カズの顔が、ぱあっと明るくなる。
「花?
どんな?」
「向日葵って言ってね。
種から、燃料が少し取れる。
花は、黄色の太陽みたいな、、」
「太陽、、、」
「あ、この帝国では太陽は小さいんだっけ?
テラじゃ、結構でかいんだよ。」
サトシの話をじっと聞いていたカズは、たまらなくなった。
「ねぇ、うちに泊まったら?
花の話、もっと聞かせて。」
「え?
いいの?
カズは、この城壁の中の人でしょう?」
「…大丈夫。
誰もいないし。」
サトシは、庭の隅にあるというカズの家に泊まることになった。