今を生きる | Stage life of Himeno

Stage life of Himeno

劇団Яeality/演劇デザイナーの香西姫乃です。
主に小劇場の演劇について、つらつらと考えていることを書いて行きます。

このタイトルあんまり使いたくないんですが、

舞台の話をする上で欠かすことの出来ない単語なのです。
 
今を生きる。
そりゃみんな今を生きてますよ?
過去も未来を生きることはできません。
この一瞬だって二度と戻ってきません。
 
その上で、私たちが考える
「今を生きる」
をちょっと整理してみようかな、と思います。
 
 

予定調和ではいけない

 

 
お芝居は特殊です。
同じ物語の過去と未来を行ったり来たりしながら一つの舞台を紡ぎます。
一度通したらまたゼロ地点へ戻り、また物語が始まり終わる。
そしてつぎの稽古にはまたゼロから始まり……。
 
と、やってると自然に未来が見えちゃいませんか?
セリフも全幕通して覚えてしまい、動きも固まってしまう。
「予定調和」なのです。
 
でもお客様が見る舞台はたった一度。
その時、予定調和の舞台を見させられてもつまらないのです。
 
なので私たちは今を生きなければなりません。
 
 
 
 
 
…………なーんて当たり前のことじゃありません。
これ出来てなかったらそれは芝居とは呼べません。スタートラインにもたってない。
観ると悲しくなってしまいますよね……。
 
私たちの「今を生きる」は、ちょっとだけ違います。
 
 

美しく、力強く、愚かに

 

 
今を生きるというのは、予定調和でないことが全てではありません。
 
時には予定調和も必要だと考えています。
 
 
私たちがお芝居に求めるものはなんでしょう?
 
主人公が困難を乗り越え、目的を達成するストーリー?
悪役が倒され、ハッピーエンドな物語?
またまた主役が闇落ちしてしまうバッドエンド?
 
どれも素敵な物語になり得ることができます。
 
しかし、本質的にお客様が求めている「物語」は違うと思うのです。
 
 
登場人物が一生懸命生きて、
自分の望む未来に向かって行動し、
周りの人々を巻き込み巻き込まれ、
ある種の運命に翻弄されながら必死に生きる
 
私は、恐らく
「人が本気で生きている姿」
をお芝居に求めているのではないかと思います。
 
 

本気で生きることの難しさ

 
 

 
私達は、普段どれだけ本気で生きているでしょう?
 
いつでも何事にも全力投球、常に頑張っている……。
というのはなかなか難しいですよね。
 
私は絶対ダラダラする時間が必要だし、睡眠時間だって10時間確保したい。
普段だってずっと集中して授業受けてる訳ではないし、芝居も「あーだるい」って思ったりもする。
 
「本気で生きる」
は、きっともう既にフィクション、ファンタジーなのです。
 
しかし、お芝居はフィクションでありファンタジーです。
お芝居の中でのダラダラシーンでさえ、登場人物は全力で生きています。
そんな、この世界ではありえない「本気」を、お客様は観に来ているのではないでしょうか。
 
 

そのために、私達は今を生きる

 

 
今を生きるというのは、板の上ですることではないと考えます。
 
役者が、本気でお芝居と向き合うためにすることなのです。
 
本気で生きることはフィクションだけれど、
そのフィクションを演じる役者は、台本に対して、舞台に対して本気でなければなりません。
 
そのために役者は、美しく、力強く、愚かに、その人生を生きなければなりません。
 
役の人生ではなく、役者の人生です。
 
 
役者の人生の上に役の人生は成り立っています。
土台となる役者の人生が違えば、役の人生も全く違うものになる。
 
しかし、その土台が全力で生きていなければ、
役もまた板の上で今を生きることができないのです。
 
 
役者がこの私達が生きている世界で今を生きなければ
役は板の上で今を生きることはできないと思うのです。
 
 

今、この瞬間を。

 
 

 
この瞬間を大切にしたい。
今やっていることは、全て舞台につながります。
 
私たちと夏休み、全力で生きたい人。
ぜひ、私たちと今を生きましょう!
 
 
 
皆様にお会いできるのを楽しみにしています。