「彩虹」ギルドで暮らす事になったファル。
最終回も安定の妄想でゆきます(^^ゞ
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最終話〈ストレイエ。〉
かくして、ファルは『彩虹』ギルドの一員となった。
それから数週間経った、ある日の朝。
まだ日の昇らない時間から、酒場の厨房からは食器の音が鳴っていた。
やがて、起床した団員たちが厨房前のカウンター席に集まってくる。
アルク「ふわぁ…おはよう。朝御飯は出来てるか~、シェフ?」
ファル「今でキきたのな。」
厨房にはエプロンを着けたファル。
ファルは席についた団員達の前に、出来立てのオムライスを並べた。
皿の隅には、黄金の蜂蜜漬けにしたリンゴも乗っている。
アカ「今日もうまそうやな!いただきまー」
アルク「まてアカ!まず俺が毒味を…」
そう言いつつ、アルクは口一杯にオムライスを入れた。
とたんに頬を綻ばせ、モグモグと口を動かす。
アカ「全く、毒味とか言っといて一番胃袋つかまれとるし…」
アカ達もアルクに続いてオムライスを頬張った。
この数週間はファルが朝昼晩の食事を用意している。
というのも、『彩虹』ギルドの財政は常に火の車。働かざる者食うべからずなのだ。
それは監視の対象であるファルも同じ。
一通りの仕事をさせてみたところ、料理が絶品という事に気づいたのだ。
今ではすっかり団員の一人として馴染んでいるのだが。
ファル「キ今日のオムライスは、トマトジュースをにコこんでソースにして、ご飯を入れてつクくったのな。
カカ隠し味として、酸っぱいキ木の実も入れてるのなー。」
口調が以前よりもおかしくなっている。
これはホーリージェムの強い光を浴びた後遺症らしい。これによって分かった事が一つ。
―クロは元々記憶回路が弱く、ファルは元々言語回路が弱い、という事だ。
もしかすると神に廃棄される原因となった不具合とは、この事なのかもしれない。
シロ「で、今日の仕事は?」
シロは朝食を終えると、口を拭きながらヴェルトの方を向く。
ヴェルト「今日はエルデンバウム方面に向かいます。あちらの地方では、デミマキナという人造兵器が各地で被害を起こしているようでして。
物資の配達とデミマキナの討伐が、今回あった依頼です。」
アルク「討伐となると、人手がいりそうだな…よし、ファル!お前も来い。」
指を指されたファルは目を丸くする。
ファル「なっ!?良いのな?ボくガガが行っても…」
ヴェルト「うちは戦力がいつもギリギリですからね…それに、今回の相手はデミマキナ。動力で動くファルさんなら、デミマキナの動力について何か気づく事があるかもしれません。」
アルク「そういえば、テクニスタのモンダンさん達が、デミマキナの動力について知りたがってたなぁ。」
クロ「…それなら、ぼくも気づく事あると思う。」
クロは小さく手を上げる。しかし、隣に座っていたシロはその手を叩き落とした。
シロ「何言ってんのよー。あんたは動力とか関係ないでしょ?これはファル君だから気づく事あるかもしれないって話なの。」
クロ「むぅ…」
クロは不機嫌そうにオムライスを口一杯に頬張るのだった。
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装備を整えたクロとファルは、先に酒場の外に出て皆の仕度が終えるのを待っていた。
クロの腰には抜刀剣。
実は先の戦いで剣を投げた際、そのまま行方不明になってしまったのだ。
鍛冶屋が剣を作っている間、代用としてアオが作ってくれた抜刀剣を使っている。
昔に刀を使っていた事もあり、相性はそれなりの様子。
空を見上げるクロ。
今日は快晴。
遠征するにはもってこいの日だ。
クロは眠そうにあくびをしながら、ぼうっと青空を眺めている。
しかし、その隣に立つファルの顔は曇っていた。
ファル「…なぁ?さっキきの話なんだケけどな…」
クロ「ん~?」
クロは間の抜けた返事で振り返る。
ファル「クロもボくと同じだってコ事、皆には話してないのな?
寿命のコ事だってな…」
クロ「――うん、話してなぁい。」
クロは相変わらずのんきな口調だ。
ファル「クロも分カカかってるのな?
ボくは長くて10年だケけど、
クロはコこの時代にク来るとキきに、ボくより何倍もの正のひカカかりを浴びてるのな。
それに、ボくらの角は寿命を表してるってコ事覚えてるのな?つまりクロは――」
その時、遠征の準備を終えた皆が酒場から出てきた。
アルク「おまたせ、クロとファル。
それじゃ早速、エルデンバウム方面に出発するか!」
アカ「おう!一杯討伐すんで!」
元気に両手剣を振り回すアカ。
アルク「ちょい、振り回すと当たるだろ…」
そのやり取りを見て、皆は笑いだす。
しかしファルは、真剣な面持ちでクロに詰め寄った。
ファル「なぁ、クロ?さっキきの話…」
クロ「ぼくは…ただの冒険者として、限りある命を皆と一緒に冒険する“人生”に使いたい。だから、これで良いんだよ。」
ファル「…にんゲげんみたいだな。」
シロ「なーにしてんの!はやく行かないと置いてっちゃうよ?」
不意に、シロがクロとファルの間に首を突っ込んだ。
クロ「分かってる。今行くとこ。」
クロは小さく微笑むと、先頭を行くアルク達の後を追う。
ファルもシロに背中を押されながら一行に続く。
或る者は街を守るために傭兵となり、
或る者は外の世界を夢見る。
また或る者はそれまでの人生を失い一から新しい生活を始め、
或る者は友人を支える為に同じ道を選ぶ。
そして、或る者は時代を越えて人々のために戦い、
或る者は罪を償う方法を探し求め、
或る者は自分に残された時間を大切な人を守るために使う。
生きる目的は違えど、一つのギルドに集まった人たち。
自分はどう進むのか、
自らの生きる目的を探求する者――
――それが、ストレイエの冒険者だ。
Fin.
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自分の正体を隠したまま、進んでいく者達。
クロだけでなく、アオも自分の正体を隠したままなのです(*´-`)
これからも、
クロ達の冒険は続いていくようです。
最終部はこれで完結!
最初はギャグ方面で描いていたものが、最後はシリアス方面に向かってましたね(^^;
gdgdな展開続きでしたが(笑)
最後まで見て下さった勇者様方、ありがとうございました!
再び、気まぐれ怠惰な更新に戻ります~
◆おまけ◆
最後の最後に二次創作クイズ~(*´-`)
※特に何も出ないクイズです。
全3問!
1(難易度低).
シロの大好物は?
a)リンゴ
b)鶏肉
c)エルデンバウムクーヘン
d)燻製チーズ
2(難易度中).
登場人物のクロ、シロ、アオ、アカ、アルク、ヴェルト、ファルを、ストレイエ歴の長い順に並べると?
※イコール(=)を使って良い。
3(難易度鬼).
登場人物のクロ、シロ、アオ、アカ、アルク、ヴェルト、ファルを、年齢の高い順に並べると?
※イコール(=)を使って良い。
以上!
かしこ(*´-`)
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