今回は少し場面が変わり、
作戦前夜のエピソード。
団長会議の後、クロは眠れないようで…?
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第16話〈作戦の適任者〉
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作戦前夜。
皆が寝静まった頃、アルクはトイレに行こうと酒場を横切った。
静かな酒場。しかし、カウンターには小さな灯りがついていた。
酒場の灯りは寝る前に全て消したはずだ。
足音を忍ばせて近づいてみると、そこにはクロの姿があった。
アルク「…クロ?はやく寝ないと明日の作戦に支障がでるぞ?」
クロはカウンターの席に座り、水を飲んでいた。
クロはアルクの声に気づいて少しだけ振り向いたが、すぐに向こうを向いてしまった。
反応の薄さにムッとしたアルクは、クロの隣の席にドカッと腰を下ろした。
アルク「どうしたんだよ、俺の喝が足りなかったのか?」
クロ「あの喝は迷惑。…そっちじゃなくて、本当に他に手はないのかなって。」
他の手…ということは、夕方に立てた作戦に不満があるのだろうか。
帰りには賛成しているように見えたが…
アルク「今更作戦を変えるのか?」
クロ「いや…。でもこの作戦は、正しい事とは言えないから…。」
アルク「確かにクロにとってはな。―でも止めたいんだろ?」
アルクの問いかけに、クロはこくんと頷く。
クロ「…ファルにも前に向かって歩いて欲しいんだ。」
アルク「なら、答えはもう出てるじゃないか。やっぱりこの作戦はクロが一番適任だな。」
アルクはカウンターにひじをつき、クロが持つグラスを眺める。
しかし、脳裏では重傷を負ったアカを思い出していた。
アルク「もし俺がクロの役だったら…
いや、やめとく。とにかく明日頑張れよ!」
アルクはそう言うと、クロの背中をドンと叩いた。
その瞬間、クロはギロリとアルクを睨む。
クロ「―だから、背中は。」
アルク「そ、そうだったな!すまん…」
アルクは苦笑いしながら頭を下げるのだった。
To be continued...
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作戦について、思うところがある様子のクロ。
「正しい事ではない」とは、どういう事なのか…
一方で、もしアルクがクロの役割をすることになっていた場合は
どうするつもりだったのでしょう(´・ω・`)
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