イリスの兄に助けてもらったアルクは、
イリスと会話を始めます。
今回も安定の妄想でゆきます(^^ゞ
クロ「Zzz...」
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第12話〈再始〉
高かった日もすっかり傾き、辺りは西日で赤く照らされている。
アルクとイリスは岩の上に座った。
アルク「それで、話っていうのは…?」
アルクが尋ねると、イリスは少し困ったように笑った。
イリス「私ね、ちょっと疲れちゃって。確かにアルクの言う通り、私がいると周りに迷惑がかかってるじゃないかって。
昨日も、私のせいでヴェルトさんがあんな目に…」
アルク「…今更だな。」
イリス「……」
イリスの曇った顔が俯く。
アルク「まぁヴェルトの事は気にしなくていい。あいつは魔法を使った事には反省するだろうけど、君を庇った事に後悔はしていないはずさ。
…あいつはそういう奴だからな。」
イリスに返事はなく、俯いたまま顔を上げない。
アルク「…というか、君は周りに迷惑をかける事はもう織り込み済みなのかと思ってたよ。
君が手にしようとしている夢にはそれをするだけの価値がある――そう思っているんじゃないのか?」
イリス「…今日はよくしゃべるのね。もしかして、私の事を励まそうとしてくれてる?」
イリスは初めて顔を上げてアルクを見る。
アルク「は、励ましちゃ悪いかよ。
それに励まされたのは俺の方で…」
イリス「え?」
アルク「って、いやいや!あれだ、あのー…お、お前を応援しようと思ったんだよ!
お前が役人になれば、街はもっと良くなるんだろ!?」
あたふたとするアルク。
そんなアルクを見ていたイリスは、不意に笑いが込み上げた。
イリス「――そうね、そうだわ。私は立ち止まってる場合じゃないのよ。
それにこんな心強い味方が出来たんだもの!
明日からは早速、あなたに頼りまくるからね!
私に勉強を教えて頂戴。それで一緒にソフィア政庁の門をくぐるのよ!」
イリスは岩から飛び降りると、アルクに向かって手を差し出した。
アルクは何かを言おうとしたが、すぐに口を閉じた。
――いや、俺の事を話す必要はないか。
アルクは岩からゆっくり降りると、イリスと堅く握手した。
アルク「やれやれ。立ち直りが早いと思ったら早速か。
全くこれは笑えないなぁ。
迷惑上等、お手柔らかにお願いしますよ。」
地平線の向こうに沈む夕日は、二人を優しく包み込んでいた。
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翌日の早朝――――
イリス「さあ、あなたの教科書と参考書を借りに来たわよ!」
アルク宅の玄関前。
イリスは旅行並みの大きなリュックを背負って立っていた。
一体、何冊持っていくつもりなのだろうか。
アルク「全く…これは…笑えないな…」
アルクは早くも、昨日の自分を後悔するのだった。
To be continued...
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お互いのわだかまりも無くなった二人。
このまま順調に行くのでしょうか(ノ‥)ノ
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