すらまっぱぎー…やかんです(^^ゞ
ソフィア街の役人、イリスをルージオ跡地まで護衛する依頼を受けた「彩虹」ギルド。
しかし、服を着たアルクの様子がおかしく…?
やかん「それでは安定の妄想で開幕です(^^ゞ」
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第2話〈本音〉
ソフィアの街を出発した一行は、ラカウ平野からのびる通商路を歩いていた。
通り路に沿って進めば、滅びの寺院、イクル湖沼(こしょう)区、スードル崖廊(がいろう)の順でルージオ跡地にたどり着く。
行商や旅人が使っている通り路だけあって比較的安全な道だ。
しかし、万が一の事もある。
反応の速いクロとアルクを先頭にして、イリスを囲むような陣形で進む。
一行はイクル湖に入り、湖沼の間の道を落ちないように進んでいく。
落ちたところで足首が濡れる程度の深さだが。
アカ「それにしても、何でまたルージオ跡地の視察になんか行くんや?しかも弱小ギルドを護衛につけるだけってさ…」
アカは頭に腕を組みながらイリスに尋ねる。
イリス「謎の竜の襲撃があってから、街の復興があまり進んでいないって聞いてね。
このギルドに依頼をしたのはアルクの様子を見たかったからよ。まあ、確かに人手不足も理由の1つだけれど。
数年前に不正を暴いたピーノ様が結構な役人を辞めさせたから…」
アカ「ああ、確かに数年前はやばかったもんなぁ。貴族は平気で支払いケチろうとしとったし。
街の生活の格差もやばかった!」
シロ「そ、そうなの?」
約2年前に街へやって来たシロとクロにとっては想像もつかない話だ。
イリス「そう。あの時の私は、ただ大声で訴える事しか出来なくて…。
不正を暴けたのも、本当はアルクのおかげで」
クロ「おーい、カメが迫ってきてるぞ~。」
クロの言葉に振り向くと、湖沼の向こうから巨大なカメが突進してきていた。
イクル湖沼の主、トルトゥガだ。
アルク「大丈夫だ!俺が動きを抑えるよ。あの時よりだいぶ弓の腕も上達したからな!」
そう言うなりアルクは弓を構え、トルトゥガに向かって矢を放った。
シュバッ
という音とともに矢は空を切り――
見事にトルトゥガの頭上を通りすぎていった。
アルク「あっ、あれっ!?あれれ?」
クロ「…ご愁傷さま、アルク。」
呆然と立ち尽くすアルクをよそに、
クロは瞬時にトルトゥガとの距離を詰めると、その頭部めがけて拳を振り下ろす。
ドゴッ
重い一撃にトルトゥガはその場でひっくり返った。
気絶しているのを確認すると、その間に一行はスードル崖廊へと急いだ。
スードル崖廊はその名の通り、道の両側が高く反り立った崖になっている。
アカはアルクに近づくと、その背中をバンバンと叩いた。
アカ「何や、久しぶりやなぁ。アルクが矢を外すとこ見るの。」
イリス「ふふっ。アルクも昔と変わってないのね。」
イリスは口に手を当てて笑う。
アルク「こっ、今回はたまたまだし!
あのカメが動くの速かったんだよ!」
しかしその言葉を聞くなり、イリスの顔から笑顔が消えた。
イリス「あら、冒険者の言葉としてはいただけないわね。そのたまたまで、命を落とすかもしれないのよ?」
イリスの声は低い。
ヴェルト「ま、まぁまぁ。今回のは普通に走っても逃げられるような程度でしたから、アルクも気が緩んだんですよ、きっと。」
ヴェルトは心配そうにアルクを見る。
アルクは何も言い返さず、弓を握ったまま前を歩き始めた。
クロもそれに続く。
アルク(言い訳だって事くらい分かってるよ!
くそ…何であそこで外したんだ!)
歩くたび、服が擦れる。
音がする。
―息苦しい。
今すぐにでも上服を脱ぎ捨てたいという衝動にかられる。
しかし、後ろにはイリスがいる。
イリスはシロ達とのおしゃべりを楽しんでいるのか、笑い声が聞こえてくる。
アルク(イリスにだけは!俺が露出狂だって知られるわけには…)
その時。
クロ「あ、アルク危ないぞ。」
アルク「はっ?」
振り返ると同時に、上から何かがアルクの頬をかすめていった。
To be continued...
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絶不調なアルク。
その上さらなる危機がやって来ます…
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