人を束ねる-久米一正
チームを強くするのに必要な事は何でしょう？スポーツに関わる多くの人が悩んでいる事のひとつだ。「勝利の方程式」というキャッチコピーはあるが、これをやれば絶対に勝てる！というものはない。
（これは後に書く予定の落合博満元中日ドラゴンズ監督の書籍に書いてあり、印象的でした）
しかし、こういう事をするとチームは悪くなる、というやってはいけない事はあります。そして、そうしないようにする船頭のような役割がＧＭ（ゼネラル・マネージャー)と言える。
以前は中位～下位に低迷していた名古屋グランパスをＪリーグ屈指の強豪に導いた久米一正GM。
スポーツビジネスで必要な事は、サラリーマン時代の日立製作所で教わった、といっても過言ではないほどサラリーマン時代にビジネスを鍛えられた。
名古屋の他に清水エスパルスもチームを変貌させる事ができたのには、この頃に培った「人を束ねる」力だった。
一言に「人を束ねる」といっても、
・いかに選手や監督、関係者に理解、共感してもらい、
・選手やスタッフが道を逸れそうな時は正しい方向に導き
・監督が選手が結果を出し易いように環境を整える
・時には厳しく辛い事もやらなければならないが、最後はクリーンに
といった事をそれとなく務めなければならない。
これらはスポーツだけでは決して経験する事はできない。むしろサラリーマンの方が営業、管理職、経営といった時に経験する。
著者は現役引退後に、日立製作所でサラリーマンとしてこれらをこなしてきたからチームが強くなったのだろう。GMというのは，監督や選手を決めたり強化方針を決めたりと言った部分に注目が集まるが、実は人間臭い部分が重要なのでしょう。
「『騙されたけど、楽しかったよ、この１年』と言われるようにしなくてはいけないと思っている」
著者は５章でこう語っているが、これが一番重要で、こう思われるために日頃の業務をおろそかにしてはならないのだろう。
