1度目は純粋に、2度目は自分に当てはめて | 杉浦文哉オフィシャルブログ「スポーツライターは現場でしょ!?」Powered by Ameba

1度目は純粋に、2度目は自分に当てはめて

ソフトボール日本代表が金メダルを獲った理由

北京五輪で念願の金メダルを獲ったソフトボール日本代表。エースとして2日間、3試合で413球を投げ抜いた上野由岐子(ルネサステクノロジ)の活躍という印象が強いですが、金メダルを獲れた理由はチームが一丸となって戦ったチームワークとチーム内での密なコミュニケーション、そしてチームのために個の力を伸ばす事に力を注いだ選手全員の努力にあったことがこの本から伝わってきます。

目次

第一章 助走
第二章 北京
第三章 バッテリー
第四章 激闘
第五章 歓喜

ポイント

日本代表は北京五輪の選手選考前の実力では、アメリカ代表に到底及ばなかった。実際、北京五輪の個人成績を見ると、上位はアメリカ代表選手が独占しています。


しかし、1+1=2のアメリカに対して日本は、1+1+チームワーク>2という理想的なチームになり、アメリカを破り金メダルを手にしました。

そこには次のロンドン五輪ではソフトボールが競技種目から外されてしまうことや、負傷による主力選手の離脱などの逆境があったため、そこから這い上がろうという高いモチベーションになれたのもあったのは事実ですが、それだけではこれまで世界一を独占してきた王者アメリカには勝てなかったでしょう。

勝因は彼女たちがひとつにまとまれたことであり、その方法論や過程がこの本には詰まっています。


ひとつひとつのエピソードは泣けるものもあれば笑えるものもあり、スポーツノンフィクションを主とする著者の持ち味が最大限発揮されており、そこに一喜一憂するだけでも十分楽しめる一冊です。


それ以上に、この本に出てくる選手、監督たちは、サラリーマンの会社における役割としても非常に参考になるでしょう。

たとえば、斎藤監督の振る舞いは部長であり、キャプテンの山田選手は新しく部下を持つことになった係長としてそれぞれ当てはめることができ、彼女たちは北京五輪の代表の中で成長していっただけに、問題点や改善点、そして結果が手に取るようにわかります。


1度目は純粋にソフトボール日本代表が世界一に向けて経験した喜怒哀楽を楽しんで読み、2度目は彼女たちの経験を自分の仕事や生活に当てはめながら読むことをオススメします。


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