鹿島 is not only ジーコ , but also 鈴木
常勝の影には日本人
ちょっとした知人の田中滋氏が、鹿島アントラーズについての本を出すという話を以前から聞いていたのですが、ようやく発売になりましたので、早速読みました。世間一般的には鹿島=ジーコと思う人が大半を占め、その事実を否定することはできないだろう。しかし、去年、一昨年のJリーグ連覇など、「ジーコ」という名前と力だけで達成できたわけではなく、彼のもとには兄のエドゥーをはじめ、ジョアン・カルロスや元ブラジル代表のジョルジーニョなど多くのブラジル人が関わり、今もその人脈は受け継がれている。
その固い絆はブラジル人だけではなく、日本人でも同様であり、先日行われた秋田豊の引退試合には多くの元選手が駆けつけて盛大に行われたように、鹿島とはファミリーのようなものである。
そのファミリーを作り上げてきたのはジーコではなく、鹿島アントラーズ創立前からチームを支え、ジーコのフィロソフィーを吸収し、日本にアレンジしてきた男によるものだった。
ジーコに限らず、Jリーグの多くのクラブには、これまでクラブを代表する外国人選手はいたが、彼ほどの影響力をもたらした人や、与えてくれたものを引き継いで伝統としているクラブは少ない。
10冠など欲しいタイトルを総なめにしつつある鹿島だが、その秘訣のヒントがこの本に隠されている。