次の日

朝ウジが起きると小指に青い毛糸が絡まってる

その遥か先がつばきの小指に繋がってる

子供の様ないたずらをする

物欲しげに毛糸の小指を噛んでる

どこからどう見てもそそる光景だがウジは手を出さない

今日が母親の命日だと昨日聞いた

ウジは一晩考えてつばきと真っ正面から向き合う事を決めた

バスルームには砕かれた浴槽

ウジの真っ赤なオープンカーに乗り込み

母が亡くなった海へ向かう

小指の毛糸は繋がったまま

オープンカーから花束が散りそうになってる
つばきはずっと黙ったまま

サングラスで表情が見えない

「家庭をかえりみず酒に溺れて」

「父親の浮気なんてただの言い訳だろ」
つばきは海に向かい吐いた言葉

「言いたい事はそれだけか」
ウジが言う

海に花をたむけ


また車に乗り込む


車を途中で止めウジが降りようとするとつばきが言った

「自殺だったかもしれない」

「ジュース買って来る」
走り出すつばきを止める絡まった毛糸

つばきを抱き締めるウジ

「母は毎日酒を求め家を出て行き、家にいなかった」
「俺は家でいつも一人で空腹だった」

「俺の髪は柔らかくすぐ縺れて玉になった」
「母はそれをほどいてくしでといてくれた事だけは覚えている」

「会いたい」
今日初めて素直な気持ちを口にした

「それでいい」
ウジはつばきの頭を優しく撫でた