大学時代の友人6人と陸の孤島のコテージに宿泊しに来た樋藤。
しかし彼の目的は、この6人をヒ素で殺害することだった。
友人たちと船に乗り、島の唯一の通信手段である電話ボックスの電話についている電話線を切断することに成功した樋藤。
しかし、次の朝に1人が殺害され、次々と連鎖的に殺人が起きる。
果たして犯人は一体誰なのか?
第二部になると、その樋藤が親しくしており、この6人の殺害事件のきっかけとなった紀田と一緒に暮らしていた訳ありの真莉愛がゴミ袋に包まれていたバラバラ死体を発見する。
その死体は、いわゆる「樋藤事件」として、彼が犯人とされ、なぜか舌を切断されていたように、同じく舌を切断されていた。
そして、真莉愛は樋藤事件の被害者に逆恨みのように恨まれ、連続殺人になっていたため、真莉愛は警察の敬語対象となって、敬語されていたのだが。。。
当初は第二部が蛇足と思っていたのですが第二部があってこそのこの本の決着かと思いました。
デビュー作の「此の世の果ての殺人」では荒廃した世界を表現していたのですが、今回は場面設定がガラリと代わり、まるで仇討ちのような感じで殺人が行われています。
しかしそこは荒木作品。
一癖も二癖もあるのです。
当初は第一部の樋藤事件だけで本の結末を迎えてもよかったのかなぁと思い読み進めていましたが、やはり第一部だけでは伏線が回収できず、第二部で完結を迎えます。
それはまるで鮮やかな、そして、哀しい結末でした。
本の表紙のゴミ収集車がなぜ描かれているのかは本書を読むと明らかになります。
本の巻末の「Z世代のアガサ・クリスティーと呼ばれている」というのは言い過ぎかもしれないと思ったのですが、よくよく本書を鑑みると、もしかしたら、と思いました。
今後も追いかけていきたい作家さんの一人になって、とても読書好きとしては、嬉しい限りだと一人で勝手に思っています。
とにかくとても読み応えがあったので、一人でも多くの人に読んでほしい本かと思います。
点数は95点かな。