朝食の時間、いやいや朝起きた時からはしゃぎまくっている私にシン君はすでに付き合い切れないような呆れ顔。
そんなシン君の態度にもめげる事がない私はさっきから今日の服選びに余念がない。
「たかが大学へ行くのに、何をそんなに悩んでるんだ?」
「たかがじゃないわよ! それに第一印象は大切でしょ? ねぇねぇお姉さんこれなんかどうかな?」
「はぁ~、妃宮様。この服もとってもお似合いでございますよ~」
パン女官が疲れきった顔でそう言うとチョン女官も賛同し大きく頷いた。
二人の見慣れた反応にムッとした私は声を上げた。
「もう! さっきからそればっかり!」
「だって~、妃宮様、朝からもう20着以上ですよ~」
「そんな事いって、あなた達私が大学で恥をかいてもいいの?」
「どんなお衣装でも素敵ですってば~~」
「印象は大切なのよ、一番いいのじゃなくちゃ」
「おい、浮かれ女。そんな事してると置いてくぞ」
「えぇ! もうそんな時間?シン君もっと早く言ってよ~!」
シン君の言葉に拍手をして喜んでいる二人をキッと睨みつけてから荷物をまとめる。
置いていかれる訳にはいかないから仕方なく今着ている服でけりをつけたけど……。
なんだかイマイチパッとしてない。
不安になって車まで向かう途中シン君に尋ねてみた。
「ねぇ、今日の服へんじゃない? 大丈夫かなこれで」
「あのなぁ……。俺以外の前でお洒落してどうするんだよ、それにお前はそのままでも十分かわいい」
「本当? 私かわいい? きゃはっ! うん、そうよね。シン君がそう言ってくれるなら何でもいいわ」
朝からあれだけの時間を掛けて選んでいたと言うのにシン君の些細な一言で私の気分は有頂天。
足取りも自然とスキップが混ざってしまう。
いつもの車に乗り込み学校への道を行く。
公務以外で車に乗る事は久しぶりでなんだか高校時代の朝を思い出す。
自然と笑みが漏れてしまっていたのか、シン君が不思議そうな顔をしてこちらを見ている。
「あのね、こうやって学校に向かうのなんだか懐かしいなと思って」
「あぁそうだな、今までは学校に行くのも一人だったが……これからはまたチェギョンと二人なんだな」
「うん、本当に嬉しい。大学に行けるなんて思ってなかったから……シン君本当にありがとう」
「なんだよ今更改まって」
「今日から新しい一日が始まるんだもの、感謝してるのよ」
「そうか、でも気をつけろよ」
「え?」
「大学は高校よりも何倍も人が多い、それにお前を初めて見る奴らもいるだろう。人だかりに乗じて言い寄ってくるやつが居るかもしれないしな」
「やだシン君、私に男が近寄らないか心配なの?」
「なっ、そんな事言ってない! ただ危険があるから注意しろと言ってるんだ」
「もぉ素直じゃないんだから~」
シン君がそんな心配してくれるなんて、ますます気分は有頂天よ。
早く学校へ着かないかな。
そんな時に限って景色の流れは遅いもの。
けれど胸踊る学校生活を前にシン君と二人話は弾んだ。
夏の暑さが残る中そよぐ風からは秋の訪れを感じる
秋の香りを感じる日は心もどこか穏やかである
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