Ep8 蔵匿 見つからないようそーっと ② | Love in Palace ~星の行方~

Love in Palace ~星の行方~

韓国ドラマ 宮 Love in Palace にはまりすぎて
日々の妄想を書き綴ったサイトです。

私がずっと来たかった場所……。
それは宮内庁病院。
何があるのかって?
実はね、あの時、あの事故の時運転をしてくれていたおじさん覚えてる?
そのおじさんがここに入院しているの。
本当なら一般の病院に入る所なんだけど、私がどうしてもってお願いをした。
私のせいで巻き込んでしまったんだもの……。
できるだけの事はしたかった。
あれから色々あってお見舞いにも来ていなかったから。
お見舞いと言ってもまだ意識が戻っていないんだって……。
ご家族にどういう顔で会ったら良いか分からないけれど、一度きちんと謝りたいと思っていたの。
そう言ったらやっぱりシン君は反対したけれど。

(またお前が苦しむ事になるかもしれない、傷つくお前を見たくないから)

って、私を心配してくれるシン君の気持ちはうれしかったけれど、
心にずっと引っかかっている事だから何とかしたい、でも一人じゃやっぱり怖いからシン君にもついて来て欲しいんだって説得したら呆れた顔で了解してくれた。

(仕方ないな……けど、お前らしいよ)

そう言って仕方なさそうにもコン内官を呼び出して色々と手配を始めてくれた。




花束を抱えて病室の前に立つ。
チェ尚宮お姉さんが先に立ちドアをゆっくりと開いてくれた。
中に人が居るのか私達の来訪を告げるお姉さんの声が響く。


「皇太弟殿下、並びに妃宮様がお見えです」


お姉さんに勧められ病室に一歩足を踏み入れようとした時に部屋の奥から鋭い声が返ってきた。


「来ないで! 入って来ないでよ!!」
「こらっ! イェジンなんて事言うの!!」
「だって……この人のせいでパパはっ!!」

聞こえた声はまだ少し幼い少女の声と母親であろう人のもの。
口論になっている原因はわたし……。
当然といえば当然だよね、私なんかに来て欲しくなかった……よね。
病室の中に進んでいくと深々と頭を下げてくれている母親とは一転そっぽを向いてしまい顔を伺えない彼女……それでも彼女から沸きあがる怒りの感情だけはしっかりと見て取れた。


「娘が失礼をいたしまして申し訳ありません」
「いえ……」
「何でママが謝るのよ! そんな必要ないわっ!」
「いい加減にしなさい! ……あっ、こらイェジンどこ行くの!」


母親に止められるのも聞かず彼女は私達の間をすり抜けて外へと飛び出して行ってしまった。
なんだかとっても胸が痛む。
心配そうに私を見つめるシン君の視線があるから大丈夫だよと伝えるためにそっと微笑んだ。


「本当に申し訳ありません……。このような所にわざわざおいでくださったのに」
「いえ……、私の方こそなんと言っていいのか……」
「妃宮様、マカオに居た主人からよく妃宮様のお話を伺っていたんですよ。
宮殿を出られて一人海外で暮らしていらっしゃるけれど毎日懸命にすごしておられると。
韓国メディアでは厳しい事を書かれているけれど、ご本人はとっても明るくて素敵な方だって。
娘もそんな妃宮様が大好きでずっと応援していたんですよ」


そう話してくれるお母さんこそ屈託なく笑うとっても明るい方だ。
ご主人がこんな状況にあるのになんて清々しい笑顔をするのだろう。


「車に乗せて頂いた時に話してくれました。韓国に高校生の娘がいるんだと。私と話ができた事を娘に自慢するんだと、うれしそうに……」
「そうですか、主人が言いそうな事ですわ」
「それがこんな事になってしまって……。本当に……私のせいでごめんなさい」
「妃宮様、そんな事おっしゃらないでください。娘も……イェジンもきっとわかっているんです。
妃宮様のせいなどではない事を。でも父親がこんなだから気が動転してしまっていて……。」
「当然です、お母様はすごいですね、こんなに気丈にされていて」
「ふふっこの人はこれくらいの事なんともないですよ、だから妃宮様も心配されないで」


そう言って眠るおじさんを見つめる瞳はとても優しくて……。
とっても素敵なご夫婦だわ。
互いを信頼し、きっと良くなるって信じているからこそこんなにも素敵な笑顔になれるのね。
私が謝りに来たはずなのになんだか逆に励まされてしまったみたい。
それから私達は他愛もない話を続けたけれどイェジンさんは戻っては来なかった。
楽しい話に時間が経つのを忘れてしまうくらいだけれども彼女の事が気がかりでしかたがなかった。



花も木も激しい雨に打たれている
けれども遠くの空に見えるのは一筋の光だった

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