学校もなくて、公務以外では身体を休めよというお祖母様の命令もあって暇を持て余してる私。
シン君はといえば公務も忙しいし、それ以外も相変わらず沢山の事を勉強しているからあまり一緒にはいられない。
一人ですることにも限界があるから、お姉さん達とおしゃべりしたり少しだけ外を散歩させてもらったり……それでも時間は有り余るほど。
一人でじっとしていると余計な事をどうしても考えてしまうから少しだけ憂鬱な今日この頃。
早く9月になって大学が始まればいいのに。
夢にまで見るキャンパスライフに思いを馳せながらもひとつ、どうしても心に引っかかるモノがある。
シン君は午後から久しぶりに時間が空くはず。
せっかくのお休みに申し訳ない気もするけれど、この機会を逃すと学校が始まってしまえばなかなか時間も作れないだろうし……。
お願い聞いてくれるかな?
リビングで落ち着きなく帰りを待っているといつも通り疲れ顔のシン君が帰ってきた。
「お帰り、シン君」
そう言うなりいきなり抱きつかれてしまう。
なんだか私がマカオから戻ってからシン君ってばとっても子供っぽい。
すぐにこうやって抱きついたり、キスをせがんだり……。
私だけに甘えてくれるってわかるから悪い気もしないけどね。
私は馴れた手つきで背中をポンポン。
「お疲れ様」
「はぁ、疲れた。ようやくゆっくりできるな」
そんな事言われると言い出し難くなっちゃうよ。
それでも私は勇気を出してゆっくりと顔を離しシン君を見上げて呟いた。
「あの……ね、シン君」
「ん? どうした?」
「今日これから時間あるでしょ? せっかくのお休みで悪いんだけど……連れて行って欲しい所があるの」
「連れてって欲しい所?」
そう、私がマカオから帰ってきてからもすごく気になってる人の所へ……。
シン君に言ったらきっと反対するだろうけど……。
それでも私にはどうしても必要な事だから。
今日も空は澄み渡っている。
けれども午後から予報は下り坂。
ハズレる事を願うばかり。
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