Ep2 忍耐 耐え忍び春を待つ事 ④ | Love in Palace ~星の行方~

Love in Palace ~星の行方~

韓国ドラマ 宮 Love in Palace にはまりすぎて
日々の妄想を書き綴ったサイトです。

「ケイト、この資料はここでいいの?」 
「あぁ、それはその奥の棚よ。」


あれから猛ダッシュで自転車をこいできた私はなんとか時間内に間に合って今日もせっせと勤務をこなしている。
ここは韓国の領事館からの口利きで働かせてもらっている博物館。
世界各国の民俗学の資料やらなにやらがあるところ。
民俗学っていうのはその土地その土地の風習や習慣、伝説、民話などなど古くから民間で伝承されてきたものを研究しているの。
最初はどれもちんぷんかんぷんだったけれど、たくさんの国の文化に触れて、民族衣装なんかはその国の人々の生活の中から生まれた物も多くって、デザイナーを目指す私にとってはおおいに興味のわくものだった。

資料の整理だなんて退屈な仕事とぼやいていたけれど今じゃそれもとっても楽しいのである。


「じゃぁ、それが片付いたら少し休憩しましょっか、チェギョン。」
「わーぃ、おやつーおやつー。」


おやつに目がくらんでそそくさと仕事を片付けると職員の休憩室へと足を運んだ。

「紅茶でいい?」
「ありがとう、ケイトお菓子は私が出すわ。」


そう言って私は椅子に登ると棚の一番上から隠してあったクッキーを取り出す。
館長には内緒よ?


「はぃ、どうぞ。」


ケイトから差し出されたカップからは湯気が立ち上り香ばしい紅茶の香りが部屋全体に広がる。
うーん、やっぱり本場の人の淹れたものはひと味違うわぁ。

ケイトはイギリスからの留学でマカオに来ているの。
仕事では少し先輩なんだけど歳も近くてすぐに仲良くなった。
博物館で働く人なんてもっとお堅いかとも思ったけれど、さばさばしててとっても感じの良い子よ。


「で?今度は何があったの?」


ぎくっとした私を見逃さなかったのかケイトに頭を小突かれた。


「バレた?」
「隠しても駄目よ、ほら泣き腫らした痕がある。また例の彼?」


ケイトに言われ急いで鏡を見にいったけれど、私の顔はいつになく完璧だ。
くそーまたかまを掛けられたか。

そういえばケイトと初めて話をした時もそうだった。
マカオに来てまだ間もない頃、泣き腫らした顔で朝を迎えていたあの頃。
それでも仕事に来るまでにはお化粧もバッチリして周りの人には気づかれないでいたのに、
ケイトったら、「韓国に忘れられない恋人でもいるのかしら?そんなに悲しい顔しちゃって。」
っと言われたっけ。
「なんでわかるの?!」すぐに返してしまった私も私だけどさ。
「私は勘がいいのよ。」だってそんなケイトにはシン君の事を時々話していた。
当然ありのままを話す訳にはいかないから、恋人がいるっていう事、それが皇太子だって事を除いて話せる事はすべて話していた。


「昨日ね、シン君がマカオに来て久しぶりに会ったのに喧嘩しちゃった。それもね、シン君たら怒って帰っちゃったきり連絡一つもして来ないのよ!」
「まぁまぁ落ち着きなさいって、それで?あなたからは連絡したの?」
「えっ?」


以外な返答に一瞬ためらってしまったが、おとなしく首を振った。


「だって、私の方が怒ってるのにこっちが折れるみたいでしゃくだわ!」
「でもたった一日連絡がないだけで寂しくってしょうがないんでしょ?それに喧嘩の原因なんかより連絡をしてくれない事に腹を立ててる違う?」


うぅー図星をさされて何も言えない。
急に居所がなくなって膝を抱え座り直し、口が自然と尖っていた。


「意地を張っても良いことなんてなにもなにわよ?好きなんだから許すしかないの。
男の人はみんな強情なんだから、それに本心をはぐらかしてばかりなんだもの。本当に欲しい言葉はそこにあるのにね。」
「おっそれは体験談?」


さっと反撃ののろしをあげるもぴしゃりと打ち返される。


「とにかく!寛大な女の方が大きな心で許してあげなくっちゃね。」


ケイトったら自分の事はあまり話したがらないんだから。
でも、その言葉前にお祖母様にも言われたわ。
あれはタイへ行ってしまったシン君の言葉を伝えに来てくれた時だ。
あぁ、嫌な記憶も一瞬よび起してしまったけれども、すぐに頭の中から排除する。


「いけない、あんまり長い事休んでるとまた館長に叱られるわ。」


時計を見上げつつ言ったケイトの言葉に二人は急いでおやつTIMEの証拠隠滅を図った。
片付けをすませ資料室に戻ると館長の鋭い視線が刺さったがなんとか笑ってやり過ごした。
それからの仕事はなんだかもんもんとしていてあまり手につかなかったなぁ。

帰り際にケイトにもう一度呼び止められ背中をバシっと叩かれた。


「自分の心に素直になりなさいよ。チェギョン!」


痛ったいよー!力の加減っていうものを知らないのかしら、ズキズキするー。
まぁでもちょっと気合が入ったから許してやるか。




その日の夜はチェ尚宮お姉さんにケイトとの話を聞かせながら夕食をすますと昨日の寝不足からか
またも携帯を握り締めたまま眠りに落ちてしまった。



不覚・・・・。
時間がたってしまうほど仲直りの連絡はしにくいものであって、なにやら余計な事を考えているうちに
数日があっという間に過ぎてしまった。
相も変わらずシン君からの連絡はないし。
ケイトには会うたびに「連絡したの?」っと聞かれる始末。
これじゃあ私が悪いの?って気分にさえなってきた。


あぁぁもう!シン・チェギョン、当たって砕けろ!
ファイティン!
耐えかねた私は、ベッドであぐらをかきつつ携帯を手にする。



-------- トゥルルルル トゥルルルル --------


『チェギョン』


今にも手に零れ落ちてきそうな星空、この空はきっと彼の元へと繋がっている。








☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

Next → Ep2の⑤