「何の印象もない女」/原田宗典 角川文庫 | 文学よみっパナシ

「何の印象もない女」/原田宗典 角川文庫

すげータイトルですねっ‥。本屋で思わず立ち止まってしまいました。
「ブス」なんていわれてもへへ~んだってなもんですが,何の印象もない女!とか言われたらスゴく悔しいなあ。首根っこひっつかまえて「いやいや私はね‥」っていいたくなりますね。ハイ。
原田宗典さんはエッセイや短編なんかが人気の作家さんですが,どっちかてーと男の子向きなイメージがあって手をつけていませんでした。しかしこのショーゲキ的なタイトルに引かれ思わず立ち読み。
「何の印象もない女」はこの本の中に収められている詩のタイトルなんですが,なかなかリズミカルで粋な詩?(散文なのかな?)なんです。
あるところにものすごーく平凡で,地味な女がいます。あんまり印象のない顔なので写真にとってもブレってうつっちゃうほど!の女。この女があるとき酒場で酔っ払った男にナンパされて酒の勢いでいい雰囲気になっちゃいます。男は酒ばっかり飲んでいる男なので,女の顔なんかよく確かめもせず「かわいいヤツ!」とかいっていちゃいちゃします。女は初めての恋にぼーっとなり男に夢中になる。
ところが男は船乗りだったので,突然船に乗ってでかけていってしまいます。律儀な女は彼の帰りを待ちます。そんなある日彼がまた港に帰ってきた!女は真っ赤なドレスを着て彼を迎えに行きます。ところが彼の方は彼女のことなんかちーとも覚えていない‥。素通りされてしまう。が~んなわけです。こっからがイイ。

以下引用

しかし彼女は未だ気づいていない。
恋を失ったせいで自分が,
何の印象もない女から
可哀そうな女に変わったことを。
その証拠に桟橋のたもとに立つ
一人の青年が
泣いている彼女を見て
「ああ,何て印象的な女だろう」
と思っていることを。

ああ宗典いいこと書くじゃん!
そう女は恋をするたび自分の顔をつくっていくんだわね。
ウキウキしたり哀しくなったり,そーゆー感情が表情とか印象とか魅力になっていくんだわな。

んで自分の顔をふっとみると,げ!あごに吹き出ものが~とりあえず,仕事に疲れた女の顔があるのでありました。早く寝よう‥。