もう一度体感したい感覚が一つある。
昔中原中也の詩集が好きで読み込むうちに、空で言えるようになった。
そのうちの一つが『汚れちまった悲しみに』である。
非常に有名な詩だ。
正直、意味はよく分からなかったが、なんとなく口ずさんでいた。
そして、ついにあのハッとする感覚に襲われた。
学校の帰り道『汚れちまった悲しみに』をなんとなく読んでいると、ほんの一瞬だが、汚れっちまった悲しみが何なのかわかった。
思わず立ちすくんでしまった。
汚れちまった悲しみってこういう事なんだとはっきりと見えた。
驚くほどはっきりと…。
しかし、次の瞬間全てが消え何もかもが分からなくなってしまった。
一体あのしびれるような感覚はなんだったのだろう。
あの日の瞬間は決して忘れられない。
坂道の先に見た青い空も忘れることはできないのだろう。