彼と一緒に居る時、奥様から1度だけ連絡が来た事がある。


一緒に寝ていた朝方5時だ。

けたたましくなる彼のスマホに、奥様の名前が見えた。

時間も時間だし、何かあったのだろうとすぐわかり彼を起こした。

電話でた方がいいよ、と促したが、ロックを解いたスマホ画面にLINEが来ていたのだろう。


内容を読んで「息子が飲酒で捕まったらしい最悪だ。電話は明日かけ直すから放っておいて」とだけ言い残してまた寝入ってしまった。


電話は6時までしつこくなり続き、その後はLINE通知が6時半頃まで続いていた。


目覚ましのような音の嵐が終わりやっと私も眠りについた。


翌日家を出た彼に心配して連絡したが、彼は奥様に折り返しすらしなかったようだ。

その時の私の心配とは、彼のお子様の心配もあったが、このまま彼が家に帰ってしまう気がしたからだ。


でも彼は、朝イチ家に戻り子供と話し合いをして、1日過ごしたら夕方にはまた私の所に帰るねと言ってきた。


でも私は断った。

本当は、帰るっていう言葉が凄く嬉しくて安心したけど、断らないといけないと思った。


今は家族が彼を必要としていると伝わったし、私がその邪魔をしてはいけないと思ったから。

あの時間帯の、一切躊躇や遠慮のない着信は、嫁という存在の大きさを私に見せつけてきた。

私ならあの時間帯に彦星に電話はできない。

25年近くの2人の歴史を感じたし、私と元旦那との子を通した関係とは全然違う、子供を通しての二人の絆の強さみたいなものを感じた。


それが、私の中で最後の砦だった【家庭は破綻している】を、ポロポロと壊していった。


だから理性が働いたのだろうか。

もしくは、断っても彼が来ると言う自信もあったのかもしれない。



でも、私のそういう気遣いや可愛げの無さが男性の「めんどくさ」へと繋がったらしい。


彼は怒って別れ話に発展し、2ヶ月ほど離ることになった。