一回目の処置が終わり、病室に戻る。
夫が窓際の席に座って待っていてくれた。

一回目の処置は、痛みもほとんどなく、そして、ラミナリアを入れたあとも、そこまで違和感もないようだ。

次の処置は、夕方の四時とのことで、それまでの間は特に何もない。

入院にともない、いくつもの書類を書く。
アレルギーに関すること、病歴に関すること、家族に関することなどたくさんの書類。
なにもすることのない私にとっては、職業柄も字を書いていることは落ち着く。


一通り書類を書き終わると、本当に何もすることがなくなった。
夫は、今日から退院まで仕事を休みにしてくれていて、私に付き添ってくれる。

私たちは、本当に久しぶりにたくさんのことを話すことになった。
上の子が産まれてからというもの、子ども中心で、まともに二人で会話することなんて本当に少なくなっていた。

思いがけず生まれた、夫婦の時間。

今回のことに関係することはあまり話さなかった。私は話すとまだ泣いてしまうし、それを分かって夫も口にはしなかった。あえて二人とも関係ない会話をしていたような気がする。

けど、そのうち私から今回のことを口にした。

私:「いつもさ、何かトラブルとかあっても、だいたい大丈夫って言われたことは、今まで全部大丈夫だったんだよね…」

以前の記事にも書いたが、私たちのなかでいろんな問題や不安なことがあったときも、夫が「大丈夫」と言ったことは、今まで本当に大丈夫だった。羊水検査の時にも夫は、「大丈夫、染色体異常はないよ。」と言っていた。私はその言葉に救われていた部分があった。なので、この話題を出した。

どうやら夫は、大丈夫と言ったときに本当に大丈夫だった、ということに気がついてはいなかったようだ。

私:「今回は、当たらなかったね…(苦笑)」

今回こそ当たってほしかったけど…。

この話題をきっかけにして、羊水検査の時の話になった。羊水検査のあとに、先生から脳に嚢胞があることを告げられていたが、その時には、心臓はまだ小さいから異常があるかどうかは分からないと言われていた。だが、結果を伝えられたとき(7月22日)に、先生にこう告げられていた。

「心臓にも穴が開いている。」

本当は羊水検査の時に分かっていたのかもしれないよね…と話した。
先生は、きっとエコーを見たときから分かっていたのだ。でも、まだ染色体異常があるかどうかも分からないし、更なる不安を与えたくないという先生の配慮だったのだろうか。

私たち夫婦にとってどっちがよかったのだろうか…

嚢胞も心臓に穴が開いていることも分かっていたら、諦めもついたのか…



昼食、軽い昼寝をして、夕方4時。

二回目の処置。

今回の処置では一回目の処置で入れたラミナリアを全て抜くことに。
私が予め調べていた処置では、どんどん増やしていくと書いてあったので、抜くことに驚いた。

どうしてなのかは分からないが、私の予想では、一回目の処置で入れたラミナリアのサイズより大きなものを入れ直すためにすべて抜いたのだろう。

処置台に乗る。
今回の先生は、一回目の先生ではなく、女の先生だった。
この大学病院では(どこの病院もなのかは分からないが。)、チームで一人の患者を診るため、医師も看護師も複数のチームを組み、治療に当たる。そのため、今回は主治医の女の先生だった。


先生によっても処置の仕方は違うようで、この先生は、あまり脚を開かないで処置を行った。

ラミナリアを抜くという処置をするとも思わなかったので、身構えもできていなかったこともあり、少し痛みを感じる。

今回は、5本入れた。
サイズが大きくなったのもあり、少し違和感がある。痛みではなく、何か重たいようなそんな感じだった。でも痛くはない。

処置を終えて、病室に戻る。

お腹の赤ちゃんは、相変わらずお腹のなかで動いていた。

そういえば、お腹の赤ちゃんが動くようになって夫がお腹を触ったことがなかった。
なるべく動いているのを触ってもらおうと、夫に動いたときに声をかける。
これもあるあるなのだが、お腹の中で動いているときに夫に声をかけてもとたんに動かなくなる…
上の子の時もそんなことあったよね(笑)と思い出話をした。
赤ちゃんが生きていた証拠を夫の手にも感じさせてあげられてよかった…
ありがとうね、と私はお腹の赤ちゃんをなでた。