先生から私たちは夫婦で話し合うように言われて、看護師さんが診察室の一つに私たちを通してくれた。


私は、今先生から説明されたことをもう一度思い出してみた。思い出せば涙しか出てこなくて、どうしたらいいのか分からなくなった。
そのわりに私たち夫婦は今やるべきことについて異様なほどに冷静で、夫も私も職場に連絡せねば、親に今の状況を伝えなければと電話をかけ始める。

夫は、仕事の合間を縫ってやって来ており、午後には戻る予定でいたので、これから検査などがあり戻れないことを伝えていた。
私も、午前中だけのお休みをいただいていたので、電話をかけた。電話に出たのは、私がとてもお世話になっている同僚の女性だった。今回の妊娠のこともその方には真っ先に伝えていて、電話にこの方が出てくれたらいいのにと願ってかけたら、私の願いが通じたようだ。私は詳しい事情を話そうと口を開いた。でも、感情が高ぶり、泣きながらうまく話にならない中、懸命に伝え、一日のお休みをいただく。

そして、今度は両親に。
うちの両親にも義理の母にも、今回のことをきちんと伝え、どんな結論を出すにしても、私たち夫婦で話し合って決めること、そのことを許してほしいと話した。
私の母は、電話口で絶句してしまっていた。当然のことだろう、私ですら、どこかで大丈夫だろうと思っていたのに、そうではなかった現実を受け止められていないのだから…。
でも、皆、私たち夫婦がどんな決断をしようとも受け入れてくれることを了承してくれた。


でも、一体どんな結論を出せばいいのだろう…

しかも、この短時間の間に…

私には、中絶を選択することが怖くて仕方がなかった。
でもそれと同時に、今後どんなことがお腹の中にいる赤ちゃんに起こるのか、それを想像するのも怖かった。


18トリソミーって一体何?
臍帯ヘルニアって一体何?
単一臍帯動脈って一体何?

私はこの短時間に初めて聞く単語の数々にスマホで調べるにも、手がつかなかった。

この短時間に、命についての結論が出せるとは思えない。
世の中の私たちのような境遇のご夫婦は、どうやってこの問題に向き合い、結論を出すのだろう。
私は冷静ではいられなくなった。

そんな中、夫は冷静に自分の考えを口にし始めた…