前回のブログでは、「AIやChatGPTに頼りすぎると、コミュニケーション力が育ちにくくなるのでは?」という視点でお話ししました。
今回は「AIやChatGPTをカウンセラー代わりにすること」について考えてみたいと思います。
AIとの対話の魅力は、何といってもいつでも、どこでも、誰にも気をつかわずに話せることにあると思います。
夜中にふと不安になったときでもすぐに話せる。
どんなにネガティブなことでも受け止めてくれる。
誰にも言えなかった本音を、ためらわずに出せる。
こうした安心感は、今の時代においては大切なよりどころであり、セルフケアの手段として十分に意味があると感じています。
一方で、AIとのやり取りには、いくつかの限界や注意点もあります。
たとえば、会話のテンポや返答はスムーズでも、対話の流れや関係性を育てていくようなやりとりは難しい部分があります。
また設定次第ではあるかもしれませんが、基本的にAIは否定せず共感的な応答をしやすいため、偏った思い込みに寄り添いすぎてしまうこともあるかもしれません。
適度なフィードバックや揺さぶりがないことで、思考や感情が固まりやすくなるリスクも感じます。
特に心配なのは、妄想傾向のある方や、現実検討力が揺らいでいる状態の方が、AIの言葉を確かな証拠のように感じてしまうことです。
一方、対人カウンセリングにも、いくつかのハードルを感じる方も多いのが現実です。
・予約を取る必要がある
・時間や回数に制限がある
・費用がかかる
・「人に話す」こと自体に緊張やためらいがある
また、過去の相談経験から「カウンセラーにうまく受け止めてもらえなかった」と感じたことがある方もいるかもしれません。
カウンセラーとの相性や、相談を受ける側の力量のばらつきが、利用への心理的ハードルになることもあるようです。
こうした点が、対人のカウンセリングを利用しにくくしている背景にあることも確かです。
ただ、時にはその不自由さや制限こそが、状況改善への重要な要素にもなります。
臨床の現場では、時間や場所、頻度といった一定の枠組み(セッティング)そのものが、心理的な安全性や変化のきっかけになるとも考えられています。
たとえば、カウンセリングが「1回50分」「月に1回」と決められているからこそ、
「この時間だけは自分のことを見つめる時間」と、心の準備が整います。
毎回同じ場所、同じ人と会うことで、少しずつ信頼感が積み上がり、普段は出せない感情や言葉が出てくることもあります。
また、話したいことがたくさんあっても時間は限られているため、
「今、何を一番伝えたいのか」「本当に話すべきことは何か」と自然に整理されていく。
そのプロセス自体が、気づきや内省につながる自分との対話になっていくこともあります。
また、どのようなカウンセリングを受けるのかによって感じ方はさまざまですが、
時には、自分でもうまく言葉にできなかった気持ちが、
誰かにそばにいてもらうことで、ふと輪郭を持って立ち上がってくることがあります。誰かと空間を共有することの力が、思っている以上に、心の動きを支えてくれることがあるのです。
AIのように、いつでも、どれだけでも話せる場では得られにくい、時間や場に区切りがあるからこそ、自分の気持ちに集中できる、自分と向き合うための静かな部屋に入るような感覚が得られることもあるのではないでしょうか。
もちろん、AIとの対話が役立つ場面はたくさんあります。
気持ちを整理したり、落ち着いたりしたいときに、とても便利なツールですし、
「誰にも言えないけれど、今すぐ話したい」というタイミングでは、大きな支えになることもあるでしょう。
でも、もし「AIに話してもなんとなくスッキリしない」と感じた時は、人との対話というもう一つの選択肢を思い出してもらえたらと思います。
AIも、人も、それぞれの特性を知ったうえで、上手に使い分けていけるといいですよね。
